四国電、伊方原発差し止めに異議 トラブル究明さなか

2020/2/19 19:45
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四国電力の長井啓介社長は記者会見で「明らかに事実と異なる」と強調した

四国電力の長井啓介社長は記者会見で「明らかに事実と異なる」と強調した

四国電力は19日、伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた1月の広島高裁の仮処分決定を不服とし、執行停止と決定の取り消しを求める保全異議を同高裁に申し立てた。四国電は伊方原発で起きた相次ぐトラブルの原因究明のさなかだが、誤った決定を放置できないとして、異議申し立てに踏み切った。

「明らかに事実と異なる」。高松市内の本社で開かれた記者会見で、長井啓介社長は繰り返し強調した。活断層の調査などを不十分とした高裁の判断を、科学的、専門的な知見に基づかない独自の判断だとして、高裁決定を批判した。

四国電が異議申し立てをしたことで、再び運転の是非が争われる見通しとなった。焦点は2つで、一つ目は伊方原発が立地する佐田岬半島沿岸部(原発から2キロメートル以内)の活断層の有無だ。

活断層の有無は原発の安全性の根幹に関わり、高裁は活断層の可能性を否定できないとした。四国電は「詳細な音波探査を実施し、沿岸部に活断層がないことを確認している」と、文献を補強するなど丁寧に説明していく考えだ。

もう一つは、火山の噴火想定が妥当かどうかだ。高裁は四国電の評価を「過小」としたが、四国電は十分保守的な想定をしていると反論。降下火砕物の堆積量が想定の15センチを超えても伊方3号機の安全性が損なわれるわけではないとしている。

四国電にとって、伊方3号機は稼働できる唯一の原発で、運転できないと火力発電の燃料費が増え月35億円ほど収支が悪化する。電気料金の値上げや、2020年3月期の期末配当の見直しは考えていないが、原発停止が長引けば経営には大きな打撃となる。

伊方3号機は19年12月下旬から定期検査に入ったが、現在は中断している。一時的な電源喪失が起きるなどトラブルが相次ぎ、原因究明を優先するためだ。

異議申し立てについても当面は見送るとしていたが、問題解決に至る前に申し立てた。この点に関して、長井社長は「誤った認定内容を放置すれば、地域の人々の不安につながる」と説明した。

「安全対策 何より重要」 愛媛知事

四国電の対応を受けて、記者団の取材に応じる愛媛県の中村時広知事(19日、県庁)

四国電の対応を受けて、記者団の取材に応じる愛媛県の中村時広知事(19日、県庁)

四国電力による広島高裁への異議申し立てを受けて、伊方原発が立地する愛媛県の自治体トップからは、改めて安全対策の徹底を求める声が上がった。中村時広知事は19日県庁で「司法の舞台での話には特にコメントはない。(トラブル続発と)ステージが違うのでリンクしては捉えていない」と述べた。

一方で定期検査中のトラブルについては「安全対策が何より重要」と強調。「徹底した原因究明と対策がない限り、定期検査の次のステップには絶対に行かせない」との考えを示した。

同県伊方町の高門清彦町長は、異議申し立てについて「四国電が判断することでありコメントは差し控える」と文書でコメント。四国電に対しては「トラブルへの早急な原因究明と対策を求めるとともに、徹底した安全性確保と地域との信頼性向上の取り組みについて、不断の追求を求める」とした。

(辻征弥、棗田将吾)

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