JR京葉線幕張新駅、開業前倒しへ 工期1年短縮
千葉県は19日、千葉市幕張地区でのJR京葉線の新駅建設に関し、工期が従来の見込みに比べて1年短縮するとの見通しを示した。JR東日本が施工方法を見直し、建設期間や事業費縮減にメドが立ったという。2023年度末の開業目標も大幅に早まる見通し。早期開業でヒトの流れが活発になれば、幕張新都心の街づくりにも弾みが付きそうだ。

同日の県議会本会議で高橋渡副知事が木下敬二氏(自民)への答弁で明らかにした。高橋副知事は「幕張新都心の魅力向上につながるよう、事業の円滑な推進に取り組みたい」と述べた。
新習志野駅と海浜幕張駅の中間に建設する新駅はイオンモール幕張新都心に近く、周辺の商業施設を含め買い物客の利便性向上を見込める。県や千葉市、イオンモールでつくる協議会とJR東は18年4月に新駅設置に関する基本協定を締結し、事業が本格的にスタートした。

事業主体のJR東は現在、幕張新駅の詳細を設計している。早期開業を期待する地元の声に対応し、詳細設計の終了を待たず、設計作業が進んだ箇所から工事に順次、着手する手法の採用を決めた。従来は工事期間を3年半と見込んでいたが、1年ほど短縮できる見通しが立ったという。
工期の短縮に伴い、23年度末までとしていた開業目標も大幅に前倒しされる見通しだ。JR東は工事や開業の前倒しについて「協議会と話し合っている段階」と具体的な時期を明らかにしていないが、工事が順調なら、22年度末に早まる可能性も出てきた。
約130億円と見込む事業費も縮減する見通しだ。18年度に駅ホームの構造や防風壁の設置範囲を変更し「数億円程度」(JR東)削減するメドが立ったのに続き、19年度はコンコースなど駅舎の構造も一部変更。一段のコスト削減を図れる見通しだという。
事業費は新駅開業による恩恵が大きいイオンモールが2分の1、県と千葉市、JR東がそれぞれ6分の1ずつ負担する。事業費が一段と縮減されれば自治体側の支出額も減り、住民負担の軽減につながる。
幕張新都心では幕張メッセが東京五輪・パラリンピックの競技会場となり、国際的な知名度アップを追い風に新たなヒトの流れや開発を呼び込む期待感が高まっている。新駅の早期開業はイオンモール周辺の交通利便性向上だけでなく、新都心を活性化する起爆剤にもなりそうだ。