「ようやく家に」 クルーズ船から443人下船、安堵の声

2020/2/19 18:15 (2020/2/19 20:37更新)
保存
共有
印刷
その他

クルーズ船が停泊する横浜港から出るバス(19日)

クルーズ船が停泊する横浜港から出るバス(19日)

「ようやく家に帰れる」。新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で19日、乗客の下船が始まった。約3700人を乗せた優雅な船旅は暗転し、乗客らは約2週間にわたる不自由な船内生活を強いられてきた。船を後にした人たちは疲れをにじませながらも、久しぶりの陸を安堵の表情で踏みしめた。一方、この日も同船では79人の新たな感染が判明した。

「無事に下船できてホッとした。乗員の気配りのおかげでなんとか2週間を乗り切れた」。19日に船を下り、東京都世田谷区の自宅に向かった女性(70)は疲れをにじませながらも、晴れやかに語った。

居室の掃除ができないストレスに加え、気がかりだったのは一緒に参加した夫(77)の体調だった。持病の高血圧と糖尿病の薬が切れ、書類でリクエストしたものの届かなかった。

内線電話も話し中でつながらなかったり、乗員に日本語が通じなかったりで、1週間ほど薬がない状態で過ごした。「こちらが尋ねなければ情報を得られない状態だった」と振り返った。

一方、配膳される食事は充実していた。昼と夜のメニューは選択でき、デザートも付いた。部屋のポストには数字パズルが毎日届き、室内のテレビでは乗船中のダンサーや歌手による特別プログラムを見られた。「難しい環境でもプロ意識をもって働き続ける乗員の姿に感心した」

夫婦で参加したさいたま市の男性も「下船して大丈夫かなという不安もあるが、体力的にきつかった。まずは喜びたい」と声を弾ませた。船内生活は居室のバルコニーから横浜の景色を眺めたり映画を見たりして過ごした。18日夜、居室に下船を許可する紙が届いた。

長期化する船内生活に、乗客だけでなく、乗員たちも疲れた表情を見せていたという。男性も「同じ境遇のはずなのに一生懸命やってくれた」と感謝を語った。

クルーズ船が停泊する大黒ふ頭(横浜市)では、19日朝から防護服やマスクを着用した職員が慌ただしく出入りした。下船に向け、「貸切」と表示されたバスが10台以上待機。タクシーが乗り場に列を作り、自家用車も頻繁に出入りした。

午前11時ごろ、スーツケースを引いたマスク姿の男女2人が船を下り、徒歩でターミナルを後にした。その後も下船者が続き、約10分後に「1号車」と表示されたバスが出発。運転手はマスク姿で、後方の客席はビニールで仕切られていた。

下船した乗客はバスやタクシーで横浜駅など複数のターミナル駅に移動し、そこから公共交通機関などを利用して帰宅した。厚生労働省はウイルス検査で陰性の結果を記載した「上陸許可証」を発行し、外出制限などは求めていない。

この日は443人が下船した。残る乗客の下船は21日まで続く見通し。厚労省は今後、乗員の下船も運航会社と調整する。

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]