「グレーゾーン」が生む才能 動画サイト、規制手探り
ネット動画のリアル(3)
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「首里城を燃やしたのは僕です」。トレーナー姿の若い男がカメラを見つめながら神妙につぶやいた。タバコの火が周囲の草木に燃え移ったと説明し、「申し訳ございません」と謝罪する――。もちろんデマだ。
2019年10月末。那覇市の世界遺産、首里城の火災が伝えられると、その直後からユーチューブでは「自分が放火した」と"告白"する動画の投稿が相次いだ。動画サイト上のこうしたいたずらは、今に始まったことではない

ユーチューブ、ニコニコ動画、そしてティックトック。誰もが投稿でき、無料で楽しめるネット動画は、私たちにすっかり身近なものとなった。そこから出てきた新しい表現者やスター、斬新なコンテンツは文化の世界の古い常識を揺さぶり、人々の感受性にも影響を与え始めている。ネット動画はカルチャーシーンに何をもたらし、そしてどんな課題を突きつけるのか。現場を歩きながら考えた。