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人材争奪でアジアに後手 日本のIT年収、中国の7割

日本の転職時賃金の低さが、ITなど先端分野の人材確保の障害になっている(技術者向けの説明会)

IT(情報技術)をはじめ高いビジネススキルを持つ人材の転職市場で、中国など他のアジアの国・地域に比べ日本の給与の低さが鮮明だ。獲得競争が激しい「データサイエンティスト」の2019年の年収は、最高額で日本は中国の7割にとどまる。IT事業の管理職も中国や香港の給与が日本をしのぐ。成長分野の人材獲得が後手に回っている。

英系人材サービス大手ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(東京・港)が18日、2019年時点のアジア主要5カ国・地域の給与調査の結果を発表した。同社が紹介し転職を決めたケースでは、ビッグデータなどを分析するデータサイエンティストは日本の年収(最高額)が1200万円。これに対し中国は1600万円だった。

世界的なサイバー攻撃の拡大で、対策を検討する「サイバーセキュリティーコンサルタント」も日本はアジアの中で割安だ。東京五輪・パラリンピックを今夏に控え人材不足が一層深刻ななか、日本の年収は1300万円。中国を上回るものの、1680万円の香港に及ばない。

IT業務を管理する「ITディレクター」は日本の1800万円に対し、中国や香港、シンガポールは軒並み2000万円を超える。年収の差は3~6割に広がる。

給与の開きは製造業でも表れている。自動車分野では研究開発を担う部長級が、中国は年収6000万円に迫るケースもある。日本は高くても3500万円と、格差は6割を超える。電気自動車(EV)関連の人材需要が中国で伸びているという。製薬会社でも中国や香港が日本を上回る。

従業員の賃金も日本は伸び悩む。過去1年の昇給率は日本は「3%未満」が48%で最も多く、「昇給なし」が21%に上った。中国は「3~6%」が42%と最多で、「昇給なし」は12%と日本の約半分だった。支給水準に違いがあるとみられるものの、賃金の引き上げに消極的な日本企業の姿勢が浮かぶ。

給与の改善が進まないと、有能な人材獲得の障害になる。ヘイズが英調査会社オックスフォード・エコノミクスと共同で実施した調査によると、高いビジネススキルを持つ人の採用のしやすさが日本は調査対象の34カ国・地域で19年にワースト2位だった。

最先端の人材を求める現場では、国境を越えた獲得競争が激しい。英系人材サービス大手のロバート・ウォルターズ・ジャパン(東京・渋谷)がまとめた調査では、19年の人工知能(AI)関連人材の中途採用時の求人倍率が6~10倍となった。外国人のほか、ビジネスの経験はないが博士号などの学位を持っている人の採用も増えている。

成長に向けた人材確保のため、技術者らに高額の報酬を出す日本企業は一部の製造業などにとどまる。ヘイズ日本法人のマイケル・クレイベン氏は「日本企業は在籍期間でなく、スキルや経験を重視する風土や文化に変わる必要がある」と指摘する。

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