5G、増える担い手 富士通・NECなど事業展開へ

2020/2/18 20:02
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工場など特定の地域内で超高速通信を使える地域版5Gの導入が始まる。総務省は18日、初めての予備免許を富士通に与えた。同社は5Gの電波を使い、工場の自動化や遠隔医療などのサービスを顧客に提供する。NECやNTT東日本なども近く免許を受ける見通し。5Gの担い手が携帯大手以外に広がれば、関連するサービスの普及につながりそうだ。

高市早苗総務相は同日の記者会見で地域版5Gについて「地域の課題解決や地方活性化への寄与を期待する」と述べた。交付式に出席した富士通の担当者は「地域と市場を活性化させる」と語った。無線設備が正常に作動することを確認し、3月にもサービスに必要な本免許の取得を目指す。

富士通はまずは川崎市にある自社の研究開発拠点で使う。監視カメラで撮影した高精細映像を5Gで送り、不審な動きがないかを人工知能(AI)で解析する。栃木県小山市の工場ではあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の機器で、センサーなどからのデータ取得に使う構想がある。

メーカーや自治体へのサービスの提案も始める。映像解析やセンサー情報の取得といった高度な通信を他社の工場でも使えるようにする。富士通には2019年4月から今年1月までに450以上の企業や団体から問い合わせがあり、具体的な商談が進む案件も2桁ある。22年の前半ごろにビジネスとして本格的に立ち上がるとみている。

地域版5Gは総務省が19年12月に受け付けを始めてから、機器メーカーや通信会社、ケーブルテレビ会社、大学、自治体の計13団体から申請があった。パナソニックやNTTコミュニケーションズなど申請を検討している企業も多い。

NTT東日本は農業や酪農業者に地域版5Gのサービスを提供する計画だ。農場などにセンサーやカメラを取り付け、5Gの無線通信で映像やデータを集め、効率的な栽培などにつなげる。地方の農場はこれまで携帯電話の基地局が整備されず電波が届かないことがあった。

NECは鉄道、製造、建設、流通の4つを重点分野とし、こうした企業の設備に通信機能の付いたセンサーなどのIoT機器を導入する。ジュピターテレコム(JCOM)やケーブルテレビ(栃木市)などCATV事業者は、電柱から利用者宅をつなぐ電線を地域版5Gを使った無線通信に置き換える。

今春から5Gサービスが始まる(写真はKDDIの5G基地局)=共同

今春から5Gサービスが始まる(写真はKDDIの5G基地局)=共同

NTTドコモなど携帯大手は春から5Gの商用サービスを始める。24年度までかけて全国に携帯基地局を整備する計画で、当初は都市部が中心になる。

地域版なら全国どこでも早期に5Gサービスを使える。超高速で大容量の5Gサービスを普及させるため、海外でもドイツのように全国サービスに加えて地域版5Gを始めた国がある。

通信の知見の少ない自治体や大学にとってはサイバー攻撃への対策も課題となる。通信や放送各社、富士通やNECといった機器メーカーなど国内42社が連携するICT-ISAC(東京・港)は近く、地域版5Gに特化してセキュリティー情報を共有する組織をつくる。非会員とともに、安全性の高い通信網の設計支援やサイバー攻撃にあった場合の支援などを担う。

政府は18日、5Gの普及に向けた新法案も閣議決定した。情報漏洩の防止などで一定の条件を満たす企業を対象に、5G基地局などへの投資額の15%を法人税から税額控除する。対象には地域版5Gの事業者も含んでおり、新サービスの普及を後押しする考えだ。

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