万博向け都市力向上、スマートシティ始動 大阪府予算案

2020/2/18 18:42
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大阪府は18日、2020年度予算案を発表した。人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を活用し住民サービスを高めるスマートシティーの取り組みを本格化させる。約2800万人の来場を見込む25年国際博覧会(大阪・関西万博)、誘致を目指す統合型リゾート(IR)を見据え、新たな都市機能強化の一歩を踏み出す。

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一般会計総額は19年度当初予算比1.5%増の2兆6368億円。府は3月に「スマートシティ戦略」をまとめ、4月に司令塔となる戦略部を新設する。万博開催の25年度に向け3段階にわけてスマートシティーの基盤構築を目指す。吉村洋文知事は18日の記者会見で「万博があるので企業がスマートシティーに関心を持ってくれる」と述べ、推進に意欲を示した。

20~21年度の第1段階は、主に技術的にすぐできることの実践に充てる。20年度予算案には関連費8244万円を計上。各市町村が保育所の空き状況や子育て施設の場所、被災時の避難所の場所を共有するデータベースを整備する。21年度以降、府民向けにアプリを開発し、スマホなどの地図上に表示できるようにすることも検討する。

他の市町村のモデルとなる取り組みに上限500万円の事業費を交付する事業も始める。インターネットで住民票を請求できる四條畷市の取り組みや、団地での自動運転カートの実証実験を進める河内長野市の動きなどがあり、他の取り組みも含めて審査会で選定する。

府が重点を置くのは「モビリティ」と「データヘルス」。西日本最大級の泉北ニュータウン(堺市、和泉市)をはじめ高齢化が進み、移動手段に困る住民が多い。寿命・健康寿命の短さも課題だ。府は政府が先端技術を活用したまちづくりを目指す「スーパーシティ構想」にも応募しており、規制緩和も実現してより高度な第2、第3段階につなげたい考えだ。

スマートシティーの取り組みは茨城県つくば市や千葉県柏市などでも進むが、みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「人口の多い地域が広域で幅広いテーマに取り組むのは珍しい」と指摘。自動運転などテーマを絞っているケースが目立つという。東京と違い、大阪には人工島の夢洲(大阪市)という広い土地があることも「新しいまちづくりに活用しやすい」優位性があるとみる。

都市機能の強化では、ライフサイエンス分野で国が選定する「国際バイオコミュニティ圏」も目指す。情報収集や国に求める支援策などの検討で約600万円を計上した。特定の地域ではなく、バイオを強みとする圏域として人材や投資を呼び込むまちづくりに生かす。

再生医療の実用化に向け、原料となる細胞などの組織を安定的に供給するための仕組みづくりに乗り出す。現在は高価な輸入品に頼っているため産業化が難しいという。大阪市内の中之島で23年度に開業を予定する再生医療など先端医療の研究拠点「未来医療国際拠点」での活用を目指す。

続く財源不足、財政運営厳しく


 大阪府が18日発表した財政状況に関する中長期試算(粗い試算)では、少なくとも2037年度まで財源不足が続くとした。19年の前回試算では34年度に収支が均衡すると見通していたが、試算の前提となる国の経済成長率見通しが低下し税収見込みが悪化。負債の返済の負担も重く、厳しい財政運営が続く。
20年度予算案の財源不足は521億円で、財政調整基金を取り崩して賄った。今後10年は270億~650億円の財源不足が続く見通し。財政状況の改善に向け、公共施設の長寿命化による更新費用の軽減など、歳出削減に引き続き取り組むとしている。
 厳しい財政の要因は負債と社会保障費の増加。府債残高は20年度末時点で6兆874億円(全会計ベース)を見込む。一般会計規模が近い愛知県の5兆8000億円超(20年度末時点)に比べ高い水準だ。
 府はバブル崩壊後の税収減などに対応するため、府債返済のため積み立てる減債基金を01~07年度に累計5202億円借り入れた。20年度はその復元に264億円を計上。復元は24年度まで続く見通しだ。
 高齢化の進展などにより20年度予算案の社会保障関係経費は19年度当初比5%増の5553億円。幼児教育の無償化の影響も大きい。
(皆上晃一)
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