アルゼンチン・IMF、債務返済巡り平行線

2020/2/18 20:00
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【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチンの債務問題を巡り、同国と最大の債権者である国際通貨基金(IMF)の交渉が平行線をたどっている。マイナス成長や財政赤字に苦しむ同国は債務減免や返済期日の繰り延べを求めるが、IMFは慎重な立場を崩さず双方の隔たりは大きい。債務不履行(デフォルト)への懸念から国債価格は大きく下げ、通貨ペソは連日、最安値を更新している。

会議で隣り合うIMFのゲオルギエバ専務理事(左)とアルゼンチンのグスマン経済相(5日、バチカン)=ロイター

「我々はそうした方法を採ることができない」。IMFのゲオルギエバ専務理事は16日、米ブルームバーグテレビのインタビューに応じ、アルゼンチンへの債務減免の可能性について否定的な姿勢を崩さなかった。

農産物を中心とする1次産品に依存する脆弱な経済体質から脱却できないアルゼンチンはこれまでもデフォルトを繰り返してきた。中央銀行によると、2020年の実質経済成長率見通しは1.5%減と3年連続のマイナス成長が不可避な情勢だ。財政、経常収支ともに赤字が続き、直近では約50%と2桁のインフレ率が常態化している。

有望とされる非在来型資源のシェールガスやオイルの開発への投資も十分ではないとの見方が多い。現状では、債務返済への道筋は描きにくいのが実情だ。

アルゼンチンにとってIMFは最大の債権者であり、441億ドル(4兆8400億円)の融資は政府債務の約14%にのぼる。19年12月に就任した左派のフェルナンデス大統領は右派のマクリ前政権がIMFから引き出した巨額融資にかねて批判的な立場を示し、総額1000億ドル規模の債務再編を目指している。

アルゼンチン財務省は11日、13日が期限となっていた国債の償還金14億7000万ドルの支払いを9月末まで延期すると一方的に通告した。グスマン経済相は国会演説で「(海外の)ファンドはアルゼンチンの危機に責任がある」と述べ、IMFの融資条件だった財政赤字の削減については「目指さない」と明言した。

債務返済や国債の利払いを止め、景気回復のための財政拡大路線推進を正当化するアルゼンチンの瀬戸際戦術にIMFは不信感を募らせる。「最後の貸し手であるために、全ての出資国は借金が返済されるという確信を持つ必要がある」(ゲオルギエバ氏)と、債務再編要求を突き放す。

IMFは12日から査察団をアルゼンチンに派遣したが、19日までの協議期間中に交渉がどこまで進展するかは不透明な状況だ。フェルナンデス政権は21年に始まる予定の対IMFの返済の猶予を引き出し、これを前例に民間投資家との交渉をもくろむが、金融市場では不信感が増幅している。

前政権が17年に発行した100年債の債券は17日時点で額面1ドルの価格が43.25セントと年初から約14%下落。利回りは16.46%と、デフォルトを意識した水準で取引される。資本規制中にもかかわらず、通貨ペソも対ドルで連日のように最安値を更新する。

連邦政府に先立ち民間債権者との交渉に臨んでいたブエノスアイレス州政府は一時拒否した州債の償還金を支払うと態度を改めた。市場では同様にフェルナンデス政権がいずれは折れるという見方も強い。仮にデフォルトを引き起こした場合、「現地通貨建て資産の暴落や海外の裁判所での訴訟を引き起こす」(コンサルティング会社、エコゴーのマルティン・ボウティエレ氏)ことで、経済が一段と悪化する事態は避けられないためだ。

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