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ケフィア事件、見えぬ経営実態 「預託商法」巨額被害

加工食品製造事業のオーナーを募る「ケフィア事業振興会」のパンフレット=共同

加工食品のオーナー制度などで高齢者から多額の資金を集めて経営破綻したケフィア事業振興会(東京、破産手続き中)の元代表ら9人が18日、出資法違反(預かり金の禁止)容疑で警視庁に逮捕された。現在、約1千億円が顧客に返済されないままとなっている。「預託商法」は事業や資金運用の実態が見えづらく、巨額被害の事件が相次ぐ。消費者庁は法改正で監視を強める方針だ。

「会社の経営実態がわかっていれば手を引いていたのに……」。都内の60代男性は悔しさをにじませる。ケフィアに約900万円を出資したが、2017年11月ごろ、配当が停止した。

同社のホームページで財務資料をチェックしたが、経営悪化はうかがえなかった。「まとめて支払う」という社員の返答を信じてしまい、今も元本の半分以上は戻っていない。

警視庁などによると、ケフィアは11年ごろから、干し柿やメープルシロップといった加工食品事業などでオーナー制度を展開。1口数万円で商品のオーナーになればケフィアが約半年後に商品を買い取る形で、元本に約10%の利息を上乗せすると宣伝していたという。18年までに約2200億円を集めたとされる。

しかし、集めた資金の多くを別の契約者の配当に回す「自転車操業」をしていたとみられ、18年9月に破産手続きが始まった。負債額は約1300億円に上り、警視庁は詐欺容疑も視野に捜査を進める。

預託商法は顧客が購入した商品などを事業主が預かって運用し配当を支払う。ただ、近年は「ジャパンライフ」や「安愚楽牧場」など被害が1000億円を超える事件が目立つ。捜査幹部は「運用状況が悪くても顧客に開示せず、決算を粉飾している業者が多い。顧客も配当が続くうちは事業者を信用し、被害が膨れ上がる」と指摘する。

預託法では、事業者に貸借対照表といった財務資料を顧客らに閲覧可能とするよう義務づけるが、詳細な運用実態を定期的に報告する仕組みはない。このため顧客は運用実績を把握しづらく、悪質業者への行政処分も遅れることが多い。実際に消費者庁がケフィアについて注意喚起を呼びかけたのは、経営破綻の前月の18年8月だった。

日本弁護士連合会はこれまでの意見書で、預託商法を投資ファンドなどと同じ「集団投資スキーム」として位置づけ、厳格な規制と国への報告を義務づける金融商品取引法を適用すべきだとの見解を示している。

消費者庁は18日、悪質業者に対し速やかに行政指導できる仕組みの導入に向け、預託法の改正などを議論する検討会初会合を開催。事業者に運用の報告を求めた際、事業者が運用資料を提出しなかったり、説明に矛盾があったりした場合に行政処分を出すことを検討する。来年の通常国会への法案提出を目指す。

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