アルストム、ボンバルディアの鉄道事業買収を正式発表

2020/2/18 5:50
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【パリ=白石透冴】鉄道で世界3位の仏アルストムは17日、同4位のカナダのボンバルディアの鉄道関連事業を買収すると正式に発表した。買収総額は58億~62億ユーロ(約6900億~7300億円)。規制当局が認めれば現在2位の独シーメンスを抜き、世界首位の中国中車に次ぐ鉄道メーカーが誕生することになる。規模で劣る日本勢の戦略にも影響が出そうだ。

アルストムのアンリ・プパールラファルジュ最高経営責任者(CEO)は「当社が世界で地位を高める貴重な機会だ。ボンバルディアとは補完関係がある」との声明を発表した。ボンバルディアも17日、買収に合意するなどと発表した。

アルストムの2019年3月期の売上高は80億7200万ユーロ(9602億円)で、ボンバルディアの鉄道部門は19年12月期に83億ドル(9115億円)。単純合算で売上高は2兆円規模となるが、2兆5千億円規模とみられる中国中車にはなお届かないもようだ。

20年10月末までに開くアルストムの臨時株主総会での合意や、規制当局の認可を待って21年6月までの買収完了を目指す。買収で4~5年内に年4億ユーロのコスト削減効果を見込む。同社は21~23年に市場が年率3%で成長すると見込んでいる。

アルストムは高速鉄道TGVの製造で知られる仏メーカー。15年に火力発電などのエネルギー事業を売却し、経営の柱は鉄道事業だけとなっている。世界最大の中国中車が15年に誕生して以来、事業規模を拡大しようと買収や統合を探ってきた。17年にはシーメンスとの事業統合を発表したが、欧州委員会が寡占市場になるなどとして統合を認めなかった。

アルストムは現金と同社株で買収額を支払う。この結果、カナダの有力年金基金「ケベック州貯蓄投資公庫」がアルストム株18%を持ち同社の筆頭株主となる。筆頭株主が仏企業ではなくなるものの、仏政府は買収を歓迎している。ルメール経済・財務相は17日、ツイッターで「アルストムが欧州の鉄道産業を強くすることをうれしく思う」などと発信した。

アルストムとシーメンスの事業統合を阻んだ欧州委員会の対応も変わる可能性が出ている。欧州委のベステア上級副委員長は19年12月、企業買収・統合の審査に関わるルールの見直しを検討すると明らかにしている。

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