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ネパール館の木彫り窓、奈良の古刹に(古今東西万博考)

1970年・大阪

異国風の意匠があしらわれている(奈良市)

奈良市の旧市街、奈良町に思わず二度見してしまう一角がある。古い木造の建物に、よく見ると花や動物の細工が施された異国風の窓がはまっている。町並みの景観に奇妙にもマッチしているのは、1970年大阪万博の「ネパール館」の一部だったとされる伝統的な木彫り窓だ。

窓がはまる建物は世界遺産、元興寺の庫裏にあたる「西室」。拝観受付とは反対側の通りに面しているため寺の施設とは気づきにくいが、以前は宿坊だったという。境内整備に尽力した辻村泰円前住職の時代、寺で「ネパール展」を開いたり当時のネパール皇太子が訪れたりしたことがあり、親善の証しとして万博後に窓の寄贈を受けた。1996年に改修再生した建築家の藤岡龍介氏は「もともとは幕末から大正期の町家建築。時代の流れの中で建物に記憶や物語が入ってくるのはいいことだと思う」と話す。

ネパール館を施工したのは、大阪市の今西組だ。先代社長の今西寿雄氏はヒマラヤ山脈のマナスル登頂に世界で初めて成功した登山家でもあり、同社は在大阪ネパール名誉総領事館の運営も担う。窓の来歴について担当者に問い合わせたところ「ネパール館は閉幕後に大阪府内の自治体に移され、その後廃棄処分となったと聞いている」との回答だった。

窓だけがいつ、奈良にやってきたのか。一部のパビリオンのその後については日本万国博覧会公式記録にあるが、ネパール館の記載はない。元興寺も「前住職は78年に急逝したこともあり、詳細ないきさつは分からない」(辻村泰道副住職)とするが、1300年の古刹の歴史に照らせば最近の「遺産」に、足を止めて見入る観光客も多い。(岡田直子)

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