新型肺炎、治療・予防の研究支援に15億円 政府

2020/2/17 18:07
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治療薬やワクチンの開発では海外が先行している

治療薬やワクチンの開発では海外が先行している

政府は新型コロナウイルスによる肺炎の治療や予防に向けた研究開発の支援に乗り出す。既存のエイズ治療薬を適用する際の安全性や効果を確かめる臨床試験(治験)を2020年度中にも始めるほか、国立感染症研究所にウイルスの変異などをとらえる遺伝子の解読装置を新たに設置する。治療薬などの開発は海外が先行しており、それらの成果を柔軟に活用することも必要になる。

政府がこのほど決定した新型肺炎の緊急対応策に関連費用として19年度予算の予備費から約15億円を盛り込んだ。日本医療研究開発機構(AMED)も19年度予算の一部の再配分などで対応する。

国立国際医療研究センターは約3億5000万円かけ、既存のエイズ治療薬を新型肺炎の患者に適用する医師主導治験を20年度にも始める。この薬はすでに同センターで新型肺炎の患者に投与されたが、まだ保険適用されておらず、現状では医師の判断による使用として所定の手続きを経る必要がある。

今後、国内で感染が広がると、より迅速に投与できる体制が求められる。同センターは治験により治療効果や安全性に関するデータを集め、医師の判断を後押ししたり保険適用につなげたりしたい考えだ。

国立感染症研究所はAMEDから助成を受け、感染の有無を短時間で診断できるキットを開発する。現在診断には4~6時間かかり短縮が急務になっており、早期の開発をめざす。

感染研は東京大学医科学研究所と共同で、新たな治療薬の開発も進める。SARS(重度急性呼吸器症候群)の研究で実用化を目指していた薬の候補物質をさらに調べるほか、コンピューターを駆使して薬の効き方などを予測する「インシリコ創薬」を通じ、新たな薬の候補物質を探す。

感染研にはこのほか予備費から6000万円が充てられ、ウイルスの全ゲノム情報を解読する装置などを導入する。解読精度を高め、コロナウイルスに起こりうる遺伝子変異などを的確にとらえられるようにする。遺伝子の変異によってウイルスの感染力や毒性が強まるなどし、さらに感染が広がるといった事態を防ぐ狙いがある。

政府は1月半ばから新型肺炎対策の研究について検討してきた。1月末に竹本直一・健康医療戦略担当相が指示を出し、AMEDが感染研や東大医科研と協議して、具体案をまとめた。

治療薬やワクチンの開発では海外が先行する。米欧の製薬企業がウイルスが増殖するのに必要とする酵素を抑える薬の候補物質などの探索に着手し、中国でも続々と臨床試験の動きが出ている。ワクチン開発を支援する国際組織、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の計画にも、ドイツや米国の企業が相次ぎ名乗りを上げた。

日本では治療薬などの開発の多くはこれから細胞実験や動物実験を進める必要があり、目の前の感染拡大を抑える期待はしにくい。既存エイズ治療薬を除けばこれから候補物質を決める段階で、安全性や効果を確かめるのに時間がかかる。国内で知見を積み重ねることも重要だが、海外で実用化した薬をいち早く使えるようにするなど、海外産の技術を取り入れる柔軟さも求められる。

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