広島県20年度予算案1.1兆円 復興・防災、デジタル推進
広島県は17日、一般会計が1兆905億円となる2020年度予算案を発表した。19年度当初予算と比べ3.4%増え、2年連続で1兆円を超える。西日本豪雨で被災した地域のインフラ整備や防災関連の事業に1042億円を充てるなど、復旧・復興に引き続き注力する。デジタル技術を活用し、暮らしや行政、産業の変革を促すデジタルトランスフォーメーション(DX)にも重点を置く。
19年度2月補正予算を合わせた総額は1兆1008億円。西日本豪雨からの復興関連では国の「国土強靱化対策」を踏まえ、道路や河川などのインフラ整備を継続する。ソフト面では災害時における企業の事業継続計画(BCP)の策定支援なども進める。
デジタルトランスフォーメーションを推進する関連事業には47億円を計上する。行政が持つデータのオープン化や、中山間地域のデジタル化を促す外部アドバイザーの派遣などに乗り出す。大学生や高専生を対象に、地域社会の課題解決や新規ビジネスに人工知能(AI)を活用できる人材の育成も新たに始める。
予算編成の増額は2年連続だが、消費税率引き上げに伴う影響が大きく、実質では横ばい圏内だという。一方、財政状況は厳しい局面が続いている。20年度末の県債残高は、19年度末見込みと比べて3.9%増の2兆4075億円となる。
広島県の湯崎英彦知事は「復旧・復興関連の事業も引き続き多く、大きな規模の予算となった」と話した。その上で優先度の低い事業の休廃止も進めていることをあげて、「復興や県政の発展に向けた歩みを止めることなく事業を進めたい」とした。