アマゾン、中小書店に卸拡大 定価近くで迅速配送 - 日本経済新聞
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アマゾン、中小書店に卸拡大 定価近くで迅速配送

アマゾンジャパン(東京・目黒)は今春、書店向けに書籍などの卸販売を本格的に始める。地方の中小書店は従来の取次会社経由だと、人気書籍の仕入れに時間がかかるケースが増えている。アマゾンは電子商取引(EC)サイトとほぼ同額で卸販売する計画だが、自社物流網による迅速な配送を強みに、中小書店の需要を掘り起こせるとみている。販売低迷が続く紙の出版物で、サプライチェーンが変わる可能性が出てきた。

2017年9月から始めた法人向けECサイト「アマゾンビジネス」を通じて、書店に出版物を届けるサービスを本格化する。人手不足などに伴い、取次会社を通じた出版物流では本が発売日に届かないケースも出ている。アマゾンが出版物を書店に配送することで、地方の書店などが出版物を仕入れやすくなるとしている。

これまでも一部書籍で対応していた。「洋書や希少本を中心に売り上げが伸びている」(同社)として本格展開を決めた。「全国にほしい本を確実に届けるようにする」としている。

販売価格は卸値ではなく、アマゾンのECサイトとほぼ同額を想定。書店にとって仕入れ価格が高いが、アマゾンの物流網を使うことで「和書や洋書など豊富な品ぞろえの出版物を迅速に配送できる」という。取次からの仕入れが遅れる場合などの補完的なサービスとして利用を見込む。

アマゾンの直接仕入れも拡大

アマゾンが書籍を仕入れる際も取次会社を介さず、出版社からの直接取引を増やす。アマゾンと直接取引をした出版社は3631社と前年比で689社増えた。取次会社を通じた場合より欠品率が4.7%改善するなど、消費者の需要に素早く対応できるという。

直接取引する出版社で取引金額が1億円以上の企業は172社、1億円未満の企業は3459社でそれぞれ13社、676社増えた。欠品率の改善に加え、売上高の増加にもつながっており、今後も直接取引を増やす方針だ。

アマゾンは昨年春、売れ残っても出版社に返品しない「買い切り」と呼ばれる手法を導入すると表明した。ほぼ1年たった買い切りの現状について、同社は「実際に試験導入は始まっているが、参加企業数など具体的な状況を話すことは難しい」と述べた。

出版業界の調査研究機関である出版科学研究所(東京・新宿)によると、紙と電子を合わせた出版全体の市場(推定販売金額)は0.2%増の1兆5432億円。電子出版の市場統計を始めた14年以来、初めて市場規模が前年実績を上回った。しかし、紙の出版物に限れば18年比4.3%減の1兆2360億円で、15年連続のマイナスの状況が続いている。

(企業報道部 篠原英樹)

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