AIで認知症を早期発見 生活の様子観察、長崎大
長崎大大学院の小林透教授(知能ロボット)らの研究グループが、ロボットや小型センサーで日常生活を記録し、人工知能(AI)に分析させて認知症の初期症状を見つけるシステムを開発した。発症が見逃されがちな1人暮らしの高齢者に利用してもらい、早期発見に役立てたい考えだ。

「薬を飲んだの? 何の薬?」。冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出し、薬箱を開けると、テーブルに置かれていたロボットが質問した。1月、長崎大であった発表会。ロボットは、冷蔵庫や薬箱に貼り付けられた小型センサーから情報を受け取り、薬の服用を感知していた。
今後は長崎大病院の一室で、実際の認知症患者らを対象に実証実験。センサーの数を増やしてより細かく動きを観察し、部屋から出る時も小型コンピューターを特殊な下着に取り付けるなどして歩数や歩いた距離、会話の時間や回数を記録する計画。
認知症になると以前のように家事ができなくなり、外出や会話が減ることが多い。集約したデータをクラウド上のAIが分析し、行動パターンの変化から認知症の予兆を見つけると、ケアマネジャーや家族に伝える仕組みだ。
小林教授は「専門医の少ない離島や山村に導入すれば、早く認知症の兆候をとらえ、重症化前に医師の診断を仰ぐことができる」と話している。
〔共同〕