新型肺炎、早期発見・治療に重点 水際対策から転換

2020/2/15 23:00
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新型コロナウイルスの感染確認が相次ぎ、国や自治体が対応に追われている。確認が相次ぐ背景には、肺炎などの患者を診察した医師の判断を受け、中国との接点が不明の場合でも広く検査するようになったことがある。15日で国内での感染者初確認から1カ月。水際対策をかいくぐって市中感染が広がっている可能性があり、厚生労働省は早期発見・治療に重点を置いた国内対策の強化を急ぐ。

記者会見する加藤厚労相(15日、厚労省)

記者会見する加藤厚労相(15日、厚労省)

加藤勝信厚生労働相は15日に開いた記者会見で、発熱やせきなどの症状で感染が疑われる人の電話相談を受ける「帰国者・接触者電話相談センター」の24時間対応を実施するよう全都道府県に要請する方針を表明した。

このほか「帰国者・接触者外来」も2009年の新型インフルエンザ対策と同等の800カ所程度まで拡充するよう求める意向を示した。水際対策の強化から転換を図り、国内で発症した人の早期発見と重症化を防ぐ治療に重点を置く。

加藤厚労相は「国民の皆さんには感染の不安があると思う。的確に必要な診察を受ける流れを作りたい」と強調した。

和歌山県の病院で感染が確認された男性外科医は中国や感染者との接点が現在まで分かっていない。この病院では15日になって同僚の医師や患者でも感染が確認され、県は「院内で感染したとみられる」としている。

このほか新型コロナウイルスの感染が確認された人は中国やクルーズ船などと接点がある人だけでなく、接点が見えない人が次第に増えている。

横浜市は15日未明、ダイヤモンド・プリンセスに乗っていた感染者の病院搬送に携わった30代の男性の消防局職員が感染していたと発表した。だが搬送当日に発熱しており、厚生労働省は「搬送したことが感染に関係している可能性は低い」とみている。

名古屋市が14日に発表した市内の60代の日本人男性は、米ハワイから7日に帰国後に39度の発熱で入院。肺炎患者との明確な接触は確認できていない。北海道が14日に発表した道内在住の50代男性は重症で、発症前の約2週間は海外へ渡航していないという。

この1週間で急に感染者が増えたようにも見えるが、背景には検査対象の拡大がある。多くの患者を診察している現場の医師から「中国と接点は分からないが、新型ウイルスに感染しているとしか思えない重症の肺炎患者が出ている」という声を受け、自治体が検査対象を広げている。

09年の新型インフルエンザの際、政府は水際対策を強化して現場の医師や看護師を検疫態勢の強化に充てた。だがその後の検証では、海外で流行し、水際対策を始めた同年4月下旬にはすでに国内に新型インフルエンザウイルスが入っていたと推定されている。

新型インフルエンザの際は初期段階で感染者の追跡調査に力を入れ、5月下旬までに健康監視の対象者は約13万人に上り、保健所がパンクした。市中感染が広がっている可能性が高くなっているならば、膨大な追跡調査に力を入れるのではなく、国内で重症患者を早期に発見して対症療法を施す態勢へ見直しが必要になる。

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