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ドイツ経済、出口なき低迷 10~12月はゼロ成長

世界貿易の伸びの鈍化がドイツ経済を直撃した(ハンブルク港のコンテナターミナル)=ロイター

【ミュンヘン=石川潤】ドイツ経済が出口の見えない低迷を続けている。ドイツ連邦統計庁が14日発表した2019年10~12月の実質国内総生産(GDP)はゼロ成長にとどまった。19年通年では18年の半分以下の0.6%の伸びで、6年ぶりの低水準に落ち込んだ。製造業の不振が経済全体の足を引っ張り、かつて「独り勝ち」と呼ばれた強さは影を潜めている。

ゼロ成長にとどまったのは、堅調だった家計や政府の支出が減速し、輸出もわずかながら低下したことが原因だ。企業の設備投資も大きく落ち込み「GDPは増加を続けることができなかった」(独連邦統計庁)。

製造業の現状は厳しい。高級車で世界首位のダイムラーのケレニウス社長は11日、「この会社は劇的に変わらなければならない」と危機感をあらわにした。19年の純利益が23億ユーロ(約2700億円)と前年の3分の1に減少。研究開発費が膨らむ一方、思うように売り上げが伸びなかった。

ダイムラーは利益を確保するために設備投資や研究開発費を抑える方針で、悪影響が連鎖的に広がりかねない危うさがある。独シーメンスは10~12月期、自動車などの投資抑制のあおりで営業利益に相当する産業部門のEBITA(利払い・税引き・償却前利益)が調整後で前年同期比3割減少したと発表した。

ドイツの19年の乗用車生産は前年比9%減の466万台、輸出は13%減の348万台にとどまった。産業全体でみた生産も直近の19年12月で前月比3.5%減とリーマン・ショック直後の09年以来の落ち込みをみせた。

年末から年明けにかけては一時、楽観ムードが漂った。米中の貿易戦争が雪解けの気配を見せ、英国の欧州連合(EU)離脱も最悪の事態を回避できるとの見方が広がったためだ。独Ifo経済研究所の企業景況感指数も底を打っていた。

だが、新型コロナウイルスによる肺炎の広がりなどの「新たな不確実性」(欧州中央銀行のラガルド総裁)が浮上し、先行きの不透明感は再び強まっている。

「世界経済は今年も弱く、はっきりとした回復は期待できない」。ドイツ産業連盟のヨアヒム・ラング氏の見通しは厳しい。強気派のエコノミストでさえ「ドイツ経済の回復は漸進的なものになる」(ライン・ウェストファーレン経済研究所のトルステン・シュミット氏)と語る。

経済協力開発機構(OECD)はドイツの成長率は20年が0.4%、21年が0.9%にとどまると予測する。

「2つのスピードを持つ経済」(ドイツ連銀)。製造業が弱い一方で、内需が堅調なドイツはこう言われてきたが、悪影響は雇用や賃金を通じて内需にも広がりうる。

内需が下支えをしている間に再び成長軌道に戻れるのか。ドイツの自動車産業の苦境の裏には、ディーゼルに頼って環境技術で後手に回ったこともある。自動車以外の産業が育たず、次の稼ぎ頭が見えないことも課題になっている。「政府は投資によって中期的な成長力を高めていくべきだ」(ハンブルク国際経済研究所のヘニング・フェーペル氏)との声が強まっている。

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