新型コロナウイルスの迅速診断キット、国内で開発開始

BP速報
2020/2/14 13:43
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日経バイオテク

デンカは2020年2月13日、新型コロナウイルスの抗原を検出できる迅速診断キット(同社は簡易検査キットと表記)の開発に着手したと発表した。中国湖北省を中心に感染拡大が広がっている新型コロナウイルスを、病院や診療所などの医療現場で簡易に検出できるようにする。

デンカは、インフルエンザウイルスの迅速診断キットの国内市場最大手。今回、新型コロナウイルスに対しても、インフルエンザウイルスと同様、イムノクロマト法でウイルス抗原を検出する迅速診断キットを開発し、国内で体外診断用医薬品として承認申請する方針だ。

迅速診断キットの開発に当たっては、まず、検体中のウイルス抗原を特異的に認識するモノクローナル抗体を取得する必要がある。現在のところ同社は、(1)国立感染症研究所など研究機関で取得された抗体を、国の支援や協力を得て入手する、(2)自社で不活化ウイルス粒子をマウスなどに免疫して抗体を作製する、(3)自社で組み換えウイルス抗原をマウスなどに免疫して抗体を作製する――のいずれかで、イムノクロマト法に適した抗体を取得する計画。

その上で、作製した抗体を使って、イムノクロマト法の迅速診断キットを製剤化し、キットの臨床性能を調べる臨床評価を実施した上で、承認申請を行う。

ただし、咽頭拭い液や喀痰(かくたん)など、迅速診断キットに用いる検体については、「現時点では未確定」(同社の広報担当者)。また、迅速診断キットを商業生産する際、抗体は、モノクローナル抗体を産生する融合細胞をマウスの腹腔(ふくこう)で増殖させ、腹水中から精製したり、ハイブリドーマを培養し、培養上清から精製したりして製造することが考えられる。また、動物細胞に抗体遺伝子を導入し、培養・精製して製造する場合もある。

デンカは、新型コロナウイルスの迅速診断キット向けのモノクローナル抗体の製造方法について、「製造方法は未定だが、いずれの方法でも自社施設で対応できる。また、国内最大級のイムノクロマト法を用いたキットの生産設備を保有しているため、承認取得後の供給も速やかに行えると考えている」(広報担当者)と説明している。なお、「開発に要する臨床検体や開発用材料については、国や厚生労働省に協力を要請する予定」(広報担当者)。

デンカによれば、通常、イムノクロマト法を用いた迅速診断キットの開発から承認取得までは、「キットの性能を左右する抗体の作製に1年、キットの製剤化の開発に1年、臨床評価に1年、承認申請から承認取得までに1年」(広報担当者)と、少なくとも4年を要する計算だ。ただし、同社は今回、前述のいずれかの方法で短期間で抗体を取得し、キットの製剤化も期間を短縮して開発期間の短縮を図る方針だ。国から支援や協力を得ることも考えているという。ただ、開発期間を短縮しても迅速診断キットの承認取得までには、年単位の期間がかかるとみられる。

新型コロナウイルスの迅速診断キットを海外展開する可能性について、同社は「海外へ供給するかは未定だが、インフルエンザウイルスの迅速診断キットは、中国、韓国、台湾などのアジアの国・地域で承認を取得し、販売した実績がある」(広報担当者)と話している。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン2020年2月14日掲載]

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