トランプ米大統領、強まる専横 共和・政権幹部に懸念
決議で造反 司法長官が「反乱」 報復人事に批判

2020/2/14 8:12
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トランプ米大統領は米兵の脳損傷を「頭痛」と表現して批判を浴びた=ロイター

トランプ米大統領は米兵の脳損傷を「頭痛」と表現して批判を浴びた=ロイター

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領の強権的な言動に、議会共和党や政権内で懸念が強まってきた。米上院でイランに対する大統領の軍事行動の権限を制限する決議案が共和党議員の造反で可決し、トランプ氏の独断行動への警戒感が浮き彫りになった。元側近の量刑軽減を求めたことには、近い関係にあった司法長官からも批判が出た。トランプ氏は上院の弾劾裁判で無罪評決を受けた後、専横的な言動が目立っており、「身内」の反発を招いている。

米上院は13日、大統領の軍事行動権限を制限する決議案を採決し、賛成55票、反対45票で可決した。野党・民主党47人(無所属含む)に加えて共和党から8人が賛成に回った。民主党のペロシ下院議長は同様の決議案を月内に採決すると明らかにした。ホワイトハウスは上下両院で可決した場合に拒否権を発動する考えをすでに示している。

決議案は議会承認を経ていないイランへの軍事行動に停止を求める内容だ。米軍は1月、トランプ氏の指示でイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の司令官をイラクで殺害した。イランと全面戦争を引き起こしかねないほど緊張が高まり、議会で大統領の戦争権限をめぐる論争が起きた。

上院決議は、司令官殺害を正当化する根拠は乏しいとの見解を示したことになる。共和党議員の造反は、今後もトランプ氏が独断による軍事行動を起こしかねないとの懸念が与党内でも出ていることを映す。

米メディアによると共和党のスーザン・コリンズ上院議員は13日、記者団に対し「政権をどの政党が握ろうと戦争行為に関する立法府の権限を取り戻す必要がある」と強調した。同党のマイク・リー上院議員は1月、司令官殺害に関する政権の説明について「議員人生で最悪の状況報告だった」と激高していた。

識者からも「司令官殺害は合衆国憲法にも議会決議にも抵触する」(米エール大のオーナ・ハザウェイ教授)との見解が出る。「差し迫った脅威」がある場合には議会承認なしに軍事行動が認められるとされるが、トランプ政権は「脅威」の具体的な内容を機密情報を共有できる議会指導部にさえ示さなかった。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は2002年に成立したイラクに対する軍事行動を認めた議会決議もあげて殺害を正当化してきた。この決議は当時のブッシュ(子)政権が大量破壊兵器を保有すると主張していたイラクのフセイン政権の脅威を念頭に置いており、ハザウェイ氏は「古い決議であり、イランの脅威に対処することも想定していない」との見方を示す。

トランプ氏の独善的な言動が一段と目立つようになったのは、ウクライナ疑惑を巡る無罪評決が出てからだ。

11日には16年の大統領選でトランプ陣営に参加したロジャー・ストーン被告に検察が最大9年の禁錮刑が妥当との見解を示したことにツイッターで「不公平だ」などと反発した。米司法省はその後、求刑を取り消す異例の判断をした。求刑した検事らは事件の担当を降り、辞職する考えを示した検事もいるという。

司法介入ととられかねない事態に、バー司法長官は13日、米メディアのインタビューで「ツイートを控えるべきだ。職務が執行できなくなる」と苦言を呈した。バー氏はこれまでトランプ氏に多数の不正疑惑が浮上しても、一貫して擁護してきた。

上院共和党トップのマコネル院内総務は米メディアのインタビューで「大統領は司法長官の助言に耳を傾ける必要がある」と語り、バー氏に同調した。弾劾裁判でトランプ氏を徹底擁護したのとは異なる対応だ。

ウクライナ疑惑でトランプ氏に不利な証言をした高官らには「報復」のような人事を断行しており、一部与党議員らの反発を招いている。

トランプ氏は7日、米国家安全保障会議(NSC)のアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐を解任し、米軍が何らかの処分を下すべきだとの考えを示唆した。

これに対し、下院軍事委員会で共和党トップを務めるマック・ソーンベリー議員は「彼(ビンドマン氏)のキャリアは能力に応じて決定すべきだ」と指摘し、トランプ氏の発言に異を唱えた。

11月に米大統領選を控えるなか、共和党と政権、さらに政権内の「一枚岩」が崩れるリスクが浮上している。

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