国内初の死者 厚労省や自治体 対応に追われる
13日夜、神奈川県で新型コロナウイルスに感染した国内初の死者が確認されたほか、和歌山県では病院に勤務する医師の感染などが明らかになり、衝撃が広がった。対応に追われた厚生労働省や各自治体は感染が拡大する可能性に危機感を強めている。

和歌山県でウイルスの感染が判明した50代の男性医師は発症直前の海外渡航歴はなく、明確な感染経路も分かっていない。同じ病院の男性医師1人と患者2人にも感染の疑いがあるという。
「どのように感染したか分からない。誰と接触したか慎重に調べる」。13日夜、和歌山県庁の会議室で開かれた緊急の会議。県幹部らが集まるなか、仁坂吉伸知事は緊張した面持ちで話した。
男性医師が勤務していた済生会有田病院(同県湯浅町)は地域の比較的大規模な医療機関だ。男性医師は発熱後も解熱剤を飲みながら同病院に出勤していたことも分かり、県などは市民に対して体調に異変があれば保健所などに相談するよう呼びかけている。
県や厚労省によると、男性医師は発症直前に中国の湖北省や浙江省への渡航歴はないという。1月31日に発熱し、その後2日間は休んだものの、微熱が続く中、解熱剤を飲みながら3日間勤務した。今月8日にコンピューター断層撮影装置(CT)による検査で肺炎の症状が見られたため、10日に入院した。容体は落ち着いているが、肺炎を発症し医療機関で経過観察を続けている。
医師の感染判明を受け、済生会有田病院は新規患者の受け入れを休止した。入院患者には院内にとどまってもらい、通院患者向けには接触者外来を設けるという。県は対策本部を設置。仁坂知事は「落ち着いて、手洗いやうがい、マスクの着用を徹底してほしい」と県民に呼びかけた。
「市中感染の可能性もあり、疫学調査の結果を踏まえて予防策の普及、啓発をしたい」。亡くなった80代女性が住む神奈川県の担当者は13日夜、厳しい表情で語った。
県内では1月16日に国内で初めて30代男性の感染が確認され、1月末以降は横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応に追われた。担当者は「死亡者が出て、今まで以上に対策をきちんとしないといけない」と話した。