万博・IR重点、夢洲アクセス本腰 大阪市20年度予算案

税・予算
2020/2/13 20:15
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大阪市は13日、一般会計で1兆7700億円となる2020年度予算案を発表した。4年ぶりのマイナスとなったが、投資的経費は前年比14%と大幅に増やした。25年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催準備や、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を見据えた成長戦略の実行に予算を重点配分した。

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記者会見する松井一郎・大阪市長(大阪市役所)

記者会見する松井一郎・大阪市長(大阪市役所)

松井一郎市長は同日の記者会見で「大阪の成長と子どもを守る充実予算だ。大阪を持続的に成長させ、世界に通用する都市にしたい」と述べた。

万博の推進費は3億2500万円で前年比2.1倍だ。開催場所となる大阪湾の人工島、夢洲(ゆめしま)は現在、空き地や埋め立て前の水面が広がる。20年度から万博会場の予定地となる夢洲中心部の南側エリアを2年かけて造成し、会場建設に関わる基本設計の費用を計上した。

鉄道・道路に加え海からも万博会場へのアクセスを改善する。地下鉄中央線を南側の咲洲(さきしま)から夢洲まで延伸する計画では詳細設計・工事に着手する。北側の舞洲(まいしま)を通る此花大橋や夢舞大橋の6車線化の設計も進める。

万博は期間中に約2800万人の来場を見込む。物流トラックの混雑対策に向け、夢洲で取り扱う貨物の一部を咲洲側に回して、夢洲に出入りする車を減らす対策を検討する。市中心部と夢洲をつなぐ高速道路「淀川左岸線2期」の整備に前年比3.6倍の関連予算を盛り込んだ。夢洲北側には小型旅客船が利用できる浮桟橋を新設するための設計に入る。

万博会場の隣で26年度末までの全面開業を目指すのがIRだ。事業者選定やIR区域の整備に関する計画作成などを進める。国はギャンブル依存症の実態調査を20年度に全国で実施する予定だが、都道府県別の結果は公表されない見通しのため独自に調査する。市は「国の調査方法と歩調を合わせ、比較できるようにしたい」という。

夢洲以外でも集客力の向上に取り組む。JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた2期」地区に新駅を設置するためのトンネル構造物の本体工事を実施。同地区西側を走るJR東海道線支線の地下化工事で、トンネル本体工事に入る。なにわ筋線の事業に26億4300万円を計上した。

中之島や御堂筋では歩行者空間の整備を進め、新今宮エリアのブランド向上でPR活動をする。

財政面では歳入のうち市税収入は0.9%減の7420億円と5年ぶりのマイナス。国の税制改正により法人市民税が減る。収支不足額の30億円は不用地売却と財政調整基金の取り崩しで賄う。

市債発行額は前年並みの1494億円とし抑制基調を続ける。20年度末の市債残高は前年比3.7%減の3兆3507億円(全会計ベース)を見込む。ピーク時の04年には約5兆5千億円あったが、16年連続で減少。一般会計規模がほぼ同じ横浜市の水準より少ない。

歳出の内訳では、投資的経費が2196億円と前年比14%増。扶助費などの義務的経費が職員の退職手当の減少などで前年比2%減となり予算減につながった。ただ義務的経費が歳出に占める割合は6割を超える。

市は毎年予算発表時に公表する今後の財政収支概算(粗い試算)を見送った。松井市長は「(これまでの試算は)厳しすぎた」として現実に即した内容への見直しを指示し、作業が終わり次第公表する。

ただ万博開催に向けて今後も大型投資は続く。夢洲のインフラ整備の総事業費だけでも963億円と試算するが、詳細な設計はこれから。人件費や資材費の上昇も見込まれ、総費用が上振れする可能性もある。関西学院大学経済学部の上村敏之教授は「財政の将来見通しは保守的にみたほうがいい」とくぎを刺す。

(皆上晃一)

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