京セラ、視覚障害者の歩行支援 駅ホームで安全に

京セラは12日、視覚障害者が駅のホームなどを安全に歩行できる新たなシステムを開発すると発表した。無線自動識別(RFID)技術や触覚伝達技術を活用し、白杖(はくじょう)が振動するなどしてホームからの転落などの危険性を視覚障害者に伝える。3年以内をメドに、鉄道事業者や自治体などと連携して実用化を目指す。
新システムでは「RFタグ」と呼ばれる部品を駅のホームのふちや列車の車両連結部に数十センチから数メートルおきに設置。白杖側にはタグからの信号を受けるRFIDリーダーを内蔵する。白杖を持った人がホームの端などに近づくと、タグから信号を受信した白杖が振動や音声で「ホームの端に近づいています」などと警告する。
RFタグは電源を必要とせず、量産規模によっては1個あたり数百円程度で作れる。一駅あたり設置コストは数百万~数千万円程度になるとみられ、ホームドアの数億~十数億円規模に比べ、大幅に安い。ホームドアのように物理的に列車との接触や転落を防ぐことはできないが、京セラは「利用者の少ない駅などで需要がある」とみる。
システムは様々な用途に使えるプラットフォームとして開発する。駅だけでなく、横断歩道や踏切、介護施設にタグを設置してウエアラブル端末などと連携させれば、視覚障害者だけでなく高齢者や子供の安全確保にも活用できるという。
RFIDは衣料品の商品タグなどに使われる技術。京セラ製品はセラミック製で耐久性が高く、通信距離も従来品よりも最大で2倍程度広い。金属でも電波を通す特長があり、産業向けに金型や工具の利用状況の記録などに使われている。自動運転技術でも走行位置の補正などで今後使われる可能性があるという。
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