大増税公約 異端の「社会主義者」サンダース氏勝利
米民主候補争い第2戦

米大統領選
2020/2/12 13:53
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11日、ニューハンプシャー州での集会で支持者に演説するサンダース上院議員=AP

11日、ニューハンプシャー州での集会で支持者に演説するサンダース上院議員=AP

【ワシントン=河浪武史】米大統領選の民主党候補争いは第2戦のニューハンプシャー州で、サンダース上院議員が勝利した。同氏は「民主社会主義者」を自称する無所属議員で、経済格差の是正へ大増税を公約する。「企業嫌い」でも知られ、経済界は左派の伸長を強く警戒する。ただ、躍進するブティジェッジ氏ら対抗馬も企業増税を掲げており、民主党候補者は全体的に左派寄りに傾きつつある。

「学生ローンはすべて帳消しにする。『グリーン・ニューディール』によって希望者は全員、国が雇うことも約束する」。サンダース氏の公約は、選挙戦が進むにつれて「大盤振る舞い」が目立つようになっている。全米で1.5兆ドルもの残高がある学生ローンは、政府が負担して全額免除。温暖化ガスの排出をゼロにする再生エネルギーへの大規模投資で「国民皆雇用」まで掲げる。

ただ、実現には巨額の財源が必要だ。看板公約の国民皆保険には年3兆ドルが必要とされ、富裕層や企業への増税によって10年で14兆ドルを確保するとしている。17年末の「トランプ減税」は同1.5兆ドルだったが、その10倍近い壮大な税財政改革だ。学生ローンの免除には、株式売買などに新税を課して財源を捻出する。米国流の市場経済は大変革が避けられない。

米国では所得格差が戦後最悪の水準に拡大する。医療費は日本の3倍もかさみ、教育費の高騰で7割の学生は卒業時に平均3万ドル強のローンを背負う。格差への不満と将来への不安が強まる低中所得層には、国民皆保険や学生ローン免除などの「大・福祉国家」構想が魅力的に映る。

もっとも、サンダース氏は「金融危機を引き起こしたウォール街の経営者は刑務所に入るべきだ。薬物汚染を広めた製薬会社も腐敗がひどく、犯罪として調査すべきだ」と、徹底した企業批判も辞さない。経済界は「サンダース氏が大統領選で勝利すれば、トランプ政権を上回る革命になる」(ワシントンのロビイスト)と警戒感が強まる。

中道も主張が徐々に左に傾いてきた。2位につけたブティジェッジ氏も10年で5兆ドル超の増税によって、学生ローンの減免や低所得者向けの住宅建設などを掲げる。巻き返しが欠かせないバイデン氏も連邦法人税率を21%から28%に高め、富裕層の株式譲渡益課税も増税すると主張。「格差是正へ大増税」は今や民主党の本流だ。

ニューハンプシャー州では急進左派への反発も表面化した。16年の同州予備選では地元が近いサンダース氏の得票率が60%に達していたが、今回は中道のブティジェッジ氏とクロブシャー上院議員の得票率を合算すれば40%を超え、サンダース氏を大きく上回った。

同州で運輸業を営む男性は「急進左派が掲げる負担増は受け入れられない。それならトランプ氏に投票する」と明言した。サンダース氏の第2戦での勝利は「左派嫌い」を助長する可能性もあり、ホワイトハウスの奪還を目指す民主党の戦略練り直しも求められる。

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