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卓球 魔球を解剖 Tリーグ・日本ペイントの映像分析
匠と巧

関西タイムライン
2020/2/17 2:01
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6秒前のプレーを流すモニターを活用したり、打球のコースなどのデータを分析し、選手にアドバイスする池袋さん(左)=松浦弘昌撮影

6秒前のプレーを流すモニターを活用したり、打球のコースなどのデータを分析し、選手にアドバイスする池袋さん(左)=松浦弘昌撮影

タタン、タタン――。卓球台で直径40ミリのボールが軽やかなリズムを刻む。トップ選手同士のラリーの練習は、まるで永遠に続く会話のよう。だが、実際の試合ではこうはいかない。

「7、8割は4球目までに決まる」と語るのは卓球Tリーグ女子、日本ペイントマレッツ(大阪市)の池袋晴彦コーチ。専門は映像分析。台上の攻防をコースやボールの回転まで細かく記録し、得失点の要因やプレーの傾向をあぶり出す。

"会話"を始める権利を持つのは、サーブ側の選手。ボールを投げ上げ、手品師のようにラケットを操り、レシーブしにくい回転、予測の裏を突くコースを狙い、少しでも返球が浮けば一発で相手を黙らせる。

もちろんレシーブ側もサーブを読み、相手を上回る返球を試みる。仲良く会話というより、「これは返せる?」「じゃあ、これは?」と技を出し合う謎かけの応酬といった趣か。卓球台の長さはわずか2.74メートル。高速で飛び交うボールのコース、回転を瞬時に判断するトップ選手の能力には、神業に近いものを感じる。

勝利への近道は、敵を知り、己を知ること。特に卓球はラケットのラバーの種類、カット型や攻撃型など戦型の違いでプレースタイルがまるで異なり、対戦相手の研究は欠かせない。

池袋コーチは試合の映像をパソコンの分析ソフトに取り込み、「プレーに付箋を貼っていくイメージ」でデータを加工する。1プレーごとにサーブとレシーブそれぞれの回転やコース、ラリーの連続回数などを入力。卓球台の半面を8分割し、どこにボールが着地したかまで記録し、配球の傾向なども数値で示す。

サーブは先手を取れる分だけ有利で、回転によって台上で横に滑ったり、伸びてきたり。対抗するレシーブの技術も多彩で、下回転(バックスピン)のツッツキ、強烈な横回転のバックハンドのチキータなど分類は9項目に及ぶ。加工した映像やデータはクラウド上で共有し、海外遠征中の選手の要望で、対戦相手のサーブの場面に特化した映像を編集することもある。

普段の練習でも映像を駆使する。大阪市北区の練習場では卓球台の横に設置したモニターで、縦と横から撮影した映像を6秒遅れで再生。三原孝博監督は「映像は嘘をつかない。選手が自身のプレーを客観視することで、技術の習得で回り道をせずにすむ」と語る。

池袋コーチは日本スポーツ振興センター(JSC)の分析スタッフとして、2016年リオデジャネイロ五輪で男子日本代表に帯同し、団体銀メダル獲得に貢献。当時、女子代表のコーチだった三原監督がその手腕を評価し、Tリーグ発足とともに日本ペイントのコーチに招いた。

試合終盤の競り合った展開で選手がどういうプレーをするのか、統計学的に解明するのが次のテーマだ。「卓球はメンタルの要素も大きい。リードの有無など場面によってプレーも変わる」と池袋コーチ。映像から心の動きも読み取ろうとしている。(影井幹夫)

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