FRB、短期国債購入を縮小へ パウエル議長が明示

2020/2/11 22:30 (2020/2/12 3:16更新)
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パウエルFRB議長は短期国債の購入を減額する考えを示した(11日、米連邦議会下院)=ロイター

パウエルFRB議長は短期国債の購入を減額する考えを示した(11日、米連邦議会下院)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日、下院委員会で「準備預金が潤沢になれば、短期国債の購入は減額する」と述べ、2019年10月から続く資金供給策を縮小する考えを表明した。同議長は国債購入の縮小時期を7月とも示唆した。市場の一部は資金供給策を「事実上の量的緩和」と受け止めてきただけに、先行きの相場に影響しそうだ。

パウエル氏は11日の下院金融サービス委員会で、半年ごとの議会証言に臨んだ。冒頭で「短期国債の購入は、銀行システムに潤沢な資金を供給する点で効果を上げてきた」と強調。FRBが民間銀行から余剰資金などを受け取る準備預金が潤沢になれば「購入を縮小していく考えだ」と明示した。

FRBは景気回復に伴って、17年秋から長期国債などの保有資産を圧縮する「量的引き締め」を開始した。ただ、19年9月には市場の資金不足によって短期金利が急騰。同10月からは短期国債を月600億ドル(約6兆6000億円)買い入れる新たな資金供給を始めていた。

パウエル議長は議会証言で、短期金利の乱高下などは収まったとの見方を強調。さらに「短期国債の購入は少なくとも4~6月期末まで続ける」と述べ、7月に国債購入の縮小に転じる考えを示唆した。民間銀行は余剰資金などをFRBに預けているが、同議長は「20年中盤には準備預金が十分な水準に達するだろう」とも指摘。銀行システムの資金不足が解消される同時期を、購入減額のタイミングとみている。

FRBは足元の短期国債の購入を「短期金利の上昇を抑える技術的措置」と説明してきた。そのため、長期国債などは購入対象とせず、金融危機後の量的緩和とは異なると強調している。ただ、FRBのバランスシートは半年で4000億ドルも増大し、金融市場では「量的緩和第4弾」との受け止めもあった。資産購入の縮小規模や時期などを巡って、市場が再び混乱するリスクもある。

パウエル議長は議会証言で「米経済が見通し通りに推移すれば、現状の金融政策スタンスが当面適切だろう」とも指摘した。FRBは貿易戦争を不安視して、19年中に3回の利下げに踏み切ったが、同議長は「貿易を巡る不確実性は和らぎ、世界経済が安定に向かう兆候がある」と主張。利下げを停止して政策金利を当面据え置く考えだ。

もっとも、中国で発生した新型肺炎を挙げて「先行きにリスク要因は残っている」とも強調した。「新型肺炎は中国に混乱をもたらし、世界経済にも影響するかもしれない」と表明し、景気指標を当面注視する方針だ。金融市場は新型肺炎による景気下振れを警戒しており、FRBが年内に再び金融緩和に踏み切るとの観測が浮かんでいる。

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