英金融街シティー、地盤沈下の懸念 「同等性」焦点に
英EU離脱 交渉のポイント(2)

英EU離脱
2020/2/11 20:00
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英シティはEU離脱による存在感の低下を避けられるか=ロイター

英シティはEU離脱による存在感の低下を避けられるか=ロイター

英ロンドンの金融街シティーが国際金融センターとしての地盤沈下を食い止められるか――。英国の欧州連合(EU)離脱はそんな疑問も投げかける。今後の交渉で、英金融機関のEU市場へのアクセスに対する制限が強まれば、英国からEUへ人員移転などを加速させる金融機関の動きが広がり、中長期的にシティーの存在感を低下させる懸念もあるからだ。

国際決済銀行によると、英国の外国為替取引高は第2位の米国の約2.6倍と圧倒的な首位に立つ。欧州の金融ハブとして繁栄してきたシティーを支えたのが、EUの単一パスポート制度だ。EUに加盟するどこか1カ国で免許を取れば、EU全域で金融サービスを提供できる枠組みだ。

しかしEU離脱で、英国は20年末の移行期間終了とともに単一パスポートを失う。英国で取得した単一パスポートは効力を失う。その後もEU市場への自由なアクセスを維持するにはEUとの交渉で、英国の金融規制はEUと同レベルだと認めてもらう「同等性」の評価を得る必要がある。

英とEUは6月末までに同等性を相互に判断する段取りだが、すんなり決着するかは不透明だ。ジョンソン英首相がEU離脱を受けて、英独自の金融規制をめざす考えを示しているためだ。

英国が独自規制にこだわれば、同等性の評価を得るのは難しくなる。すでに在英金融機関の多くは「合意なき離脱」への備えとして、EU側にも拠点を整えてきた。例えば野村ホールディングスは独フランクフルトに開いた拠点で証券業のEU免許を取り、どう転んでも在EUの顧客と取引を続けられる基盤を整えた。同等性を認められなくても、20年末に金融ショックが生じるような事態は避けられそうだ。

しかし、「同等性」が広く認められれば離脱前と同じく、大半のEU向け金融サービスをロンドン拠点から効率的に続ける道が開ける。独自規制で世界から新たに金融機関を呼び込み、EUに頼らない金融拠点をめざすのか。それともEU市場へのアクセスを守りながら国際金融都市の地位を堅持するのか。シティー関係者たちは交渉の行方を注視している。

(ロンドン=篠崎健太)

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