リニア連絡会議 専門家、突発湧水などでリスク管理を
静岡県は10日、リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事による大井川の水資源への影響や対策を話し合う県環境保全連絡会議を開いた。発生土置き場の設計や重金属の処理、工事中の突発湧水への対応などを協議した。県の専門家はJR東海の説明に対し、「想定を上回る湧水が出た際にどうするかの議論が必要」などと、より厳格なリスク管理を求めた。
会議は2019年10月以来、約4カ月ぶりの開催。県が19年9月に提示した「引き続き対話を要する47項目」に対し、JR東海は1月24日までに「見解」や、県からの指摘を踏まえた「再見解」を提出した。今回はこのうち発生土置き場と突発湧水の項目について話し合った。
会議後、静岡県の難波喬司副知事は記者団に対し、「JR東海の説明はなお不十分なところがある。生態系の問題も含め継続して話し合わないといけない」と語った。JR東海の沢田尚夫・環境保全統括部担当部長は「分かりづらい言葉遣いなど直すべきところは直し、対応したい」と話した。
リニアの協議を巡ってはトンネル湧水の県外流出や地下水への影響について、国土交通省が新設する有識者会議で議論する方針が決まっている。県の連絡会議と、国交省の有識者会議の役割分担は明確でないが、難波副知事は「県では論点を整理し、議論可能なところを詰めていく」とし、連絡会議での議論を継続する考えを示した。