今日も走ろう(鏑木毅)

フォローする

練習工夫、老化にあらがう 負荷かけ続け記録更新も

2020/2/13 3:00
保存
共有
印刷
その他

先日「45歳から強くなる」と題したランニングセミナーを開催した。セミナーの冒頭、参加者に普段どのようなトレーニングをしているかと尋ねると、多くの人々がゆっくりとしたジョギングに終始しているという。

もちろん、健康増進のためのジョギングであればそれで構わない。ただ、一定程度のレベルアップを望むのであれば、タイミングを見て負荷の高い練習を取り入れていかないと、どんどん肉体は衰退していってしまう。ただ、それも無理もない話だろう。何よりプロである私からして40代半ばを過ぎた頃から、肉体を追い込むことがおっくうで仕方なかったのだから。

反応力を高める動きの練習で若い頃の走りをキープ

反応力を高める動きの練習で若い頃の走りをキープ

ランニングにおける老化とは何だろうか。51歳の私の現状は、以前のように一歩一歩を軽く蹴りだせなくなっている。全盛期であれば路面の反発力を生かしてどんどん前に体を押し進めることができたのに、今は体を支えきれずに腰から下半身が地面に沈み込むような感じだ。そのためスピードに乗れず、練習でも十分に追い込めない。ゆえに心肺機能もレベルダウンする。

専門家に細かく測定してもらうと、全盛期に比べて筋力はさほど落ちてはいないそうだ。ただ、一歩踏み出す瞬時のうちに地面へと力を伝える力が著しく低下していた。つまり筋力自体はあるのにそれを動かし伝える能力が衰えているのだ。

このような老化を予防するランニングメニューとしておすすめしたいのが、身近にある短い坂道を疾走するトレーニングである。初めはさほどペースを上げなくてもよい。自重を持ち上げることで、ランニングに必要な地面に力を伝える能力を回復させることにつながる。30分間のジョギングをするなら、そこに50メートル程度のショートダッシュを数本入れるだけで筋力を生かす反応力が高まる。

リカバリーにおいても留意すべき点がある。若い頃に比べると回復までの時間はかかるため、休む時間を十分とろうとするとその間に筋力がダウンしてしまう。そこで回復させつつ筋力を維持するには、自転車や水泳あるいはスポーツクラブの有酸素マシンなどを活用するのがよさそうだ。ランニングとは異なる脚の使い方をすることで、筋肉のダメージを回復させながら全体的な脚力や心肺機能をレベルアップさせることができる。

若い頃と同じトレーニングの流れでは走力は低下する一方になる。疲労と折りあいをつけながらも体にさまざまな負荷をかけ続けることが大切だ。長距離走で培ったスタミナは急激に落ちることはなく、前に述べた短時間での高い負荷のトレーニングや、リカバリー法を工夫すると年を重ねても記録を伸ばすことは十分可能だ。年齢を重ねていくのを悲観してばかりいる必要はない。

イタリア人のマルコ・オルモ選手は50歳をすぎてから世界の舞台で頭角を現し、トレイルランの世界最高峰UTMBを58歳で制覇した。誰もがオルモ選手になれるわけではないにせよ、工夫次第でいつの年代でも輝けるという希望は持てるだろう。

(プロトレイルランナー)

今日も走ろう(鏑木毅)をMyニュースでまとめ読み
フォローする

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

ランニングのコラム

コラム「美走・快走・楽走」

コラム「今日も走ろう」

電子版トップスポーツトップ

今日も走ろう(鏑木毅) 一覧

フォローする
富士山頂まで応援に来てくれた県庁時代の職場の仲間と(2005年の富士登山競走)

 新型コロナウイルスの影響で先行きが見えない日々が続く。
 4月1日は新年度のスタートだが、今年は入社式も実施できない職場もあると聞く。二十数年前に大学を卒業した私は2浪の上、さらに1年留年し、民間企業 …続き (4/2)

ランナーの100マイルにかける思いはさまざま(2019年UTMFのスタート)

 新型コロナウイルスが国内外で猛威をふるっている。その影響で4月24~26日に予定されていたアジア最大級のトレイルランニングレース、ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)を中止とした。客観的には大 …続き (3/26)

左足に痛みを抱えながらも練習で追い込んでいた10年前

 冬場の運動は筋肉がこわばることもあり、トラブルが起こりやすい。10年前のオフシーズンの冬は、私にとって非常につらい日々だった。40歳で公務員を辞めプロになり、最高の結果が出ていた時期のことだ。

 夏の …続き (3/19)

ハイライト・スポーツ

[PR]