アカデミー作品賞に韓国「パラサイト」 英語以外で初

2020/2/10 13:35 (2020/2/10 17:51更新)
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「パラサイト 半地下の家族」で作品賞を獲得したポン・ジュノ監督=ロイター

「パラサイト 半地下の家族」で作品賞を獲得したポン・ジュノ監督=ロイター

【ロサンゼルス=佐藤浩実】米映画界最大の祭典であるアカデミー賞の第92回授賞式が9日(日本時間10日)にハリウッドで開かれた。作品賞に選ばれたのは、ポン・ジュノ監督の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。裕福な家庭に"寄生"する貧しい一家を描いた作品で、格差社会への批判もにじませた。外国語(英語以外の言語)の映画が作品賞を受賞するのは初めて。

パラサイトは半地下の家に暮らすキム一家の息子が、友人の紹介で高台の豪邸に住むIT(情報技術)企業社長の娘の家庭教師になることから始まる物語だ。キム一家が様々な手を使って裕福な家族に"寄生"していく様子をテンポ良く描きつつ、格差社会への問題提起をしている点が評価された。

ポン・ジュノ監督は「殺人の追憶」や「グエムル 漢江の怪物」といった韓国映画で頭角を現し、17年にはネットフリックス配信の「オクジャ/okja」も手掛けた。アメリカ映画協会によれば、18年に411億ドルだった世界の映画興行収入のうち、アジア太平洋地域の比率は41%(167億ドル)。映画を消費する市場として存在感が増すなかで、作り手の実力も高まっていることを示した。

パラサイトは監督賞や脚本賞など最多の4部門を受賞し、今年のオスカーの主役となった。ポン・ジュノ監督は授賞式で「アイリッシュマン」のマーティン・スコセッシ監督の映画を見て勉強したという学生時代のエピソードを披露し、「一緒に候補になっただけで光栄だ」と話した。今村昌平氏や黒沢清氏といった日本の映画監督にも影響を受けたという。

パラサイトが票を集めたのは「『白人偏重』というアカデミー賞への批判をかわすため」との見方もある。アカデミー賞は、監督や俳優など映画関係者で構成する米映画芸術科学アカデミーの会員投票によって受賞作品を決める。

ほかの注目作品では、DCコミックスの悪役の誕生秘話を描いた「ジョーカー」が主演男優賞(ホアキン・フェニックス氏)などを受賞。第1次世界大戦を舞台にした「1917 命をかけた伝令」は視覚効果賞や録音賞を受賞した。ネットフリックス配給の「アイリッシュマン」(マーティン・スコセッシ監督)は受賞を逃した。

日本関連では、米テレビ局のセクハラ事件を扱った「スキャンダル」でメークを担当した京都市出身のカズ・ヒロさん(辻一弘から改名)が2度目のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。

カズ・ヒロさんは記者会見で、映画の特殊メークの仕事に復帰するきっかけとなった俳優、ゲイリー・オールドマン氏の名前を挙げた。「(彼が仕事を依頼したことで)キャリアが変わり、たくさんの素晴らしい映画に出会えた」と話した。カズ・ヒロさんは「美術とメーキャップの仕事が両方大好きだ」と話し「死ぬまで続ける」と語った。

このほか「アナと雪の女王2」の日本語吹き替え版で主役のエルサの声を務めた松たか子さんが授賞式に参加。各国の声優とともに歌曲賞にノミネートされた主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌い、会場を沸かせた。

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