カズ・ヒロさん2度目のオスカー、世界的名匠の証し

2020/2/10 12:36
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シャーリーズ・セロンさん(右)にメークするカズ・ヒロさん
(C)Lions Gate Entertainment Inc.

シャーリーズ・セロンさん(右)にメークするカズ・ヒロさん
(C)Lions Gate Entertainment Inc.

カズ・ヒロさんが再びオスカーを手にした。日本出身スタッフの過去の受賞者には衣装デザイン賞のワダエミ氏、石岡瑛子氏、作曲賞の坂本龍一氏らがいるが、2度目の受賞は初。真の世界的名匠と認められた証しだ。

受賞作「スキャンダル」は米国のニュース放送局、フォックスニュースで2016年に露呈したセクハラ事件の実話に基づく。人気キャスターのメーガン・ケリー氏、最高経営責任者(CEO)ロジャー・エイルズ氏、CEOを告訴したベテランキャスターのグレッチェン・カールソン氏ら有名人が実名で登場する。

この米国のセレブ3人の特殊メークを手がけた。「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」(17年)で名宰相をよみがえらせて初のオスカーを受賞したこの人に、主演のメーガン役でプロデューサーも兼ねるシャーリーズ・セロンさんが直々にオファーした。セロンさんに「登場人物が今生きている有名な人ばかりで、本人に似ていることが非常に大事なので引き受けてほしい」と依頼されたという。

本物そっくりなのに、自然な表情を損なわない、特殊メークとは思えないような特殊メークが真骨頂だ。小さなピースを使って、顔の細部を修正し、セロンさんやニコール・キッドマンさんを、有名キャスターそっくりに変身させた。セロンさんのメークには毎日3時間弱かかったという。

1996年に渡米し、「グリンチ」「PLANET OF THE APES/猿の惑星」などを手がけた。12年に映画の仕事を離れ、美術彫刻に専念していたが、俳優ゲイリー・オールドマンさんの求めに応じ「ウィンストン・チャーチル」で復帰。「特殊メークの新しい基準を築いた」と評された。今回が復帰第2作となる。活動の中心は美術に置いており、映画の仕事は「残りの人生で自分の時間をかけて意味のある作品にかかわりたいので、吟味して選んでいる」と語っている。

19年3月に米国に帰化し、辻一弘から改名。特殊メークアーティストとして独自の道を切り開き「自分を信じられないのは日本人の悪い癖。もっと自分を信じるべきだ」と語っていた名匠は、名実ともに国境を越えた。

(編集委員 古賀重樹)

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