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井上尚、世界の「モンスター」へ アラム氏の手腕注目
スポーツライター 杉浦大介

2020/2/10 3:00
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井上尚弥(大橋)の本格的なアメリカ進出がいよいよスタートする。

1月31日、世界ボクシング協会(WBA)バンタム級スーパー王者で、国際ボクシング連盟(IBF)タイトルを保持する井上が、4月25日、米ネバダ州ラスベガスのマンダレイ・ベイ・イベンツセンターで世界ボクシング機構(WBO)同級王者、ジョンリール・カシメロ(フィリピン)と3団体統一戦を行うことが東京都内で発表された。アメリカでのプロモーターとして新たに契約したトップランク社によると、井上対カシメロ戦は米国内でもまもなく正式発表されるという。

3団体王座統一戦に向け、記者会見をするWBA、IBFバンタム級王者の井上尚弥。右は大橋秀行会長=共同

3団体王座統一戦に向け、記者会見をするWBA、IBFバンタム級王者の井上尚弥。右は大橋秀行会長=共同

「モンスター来襲、いよいよだね」。最近は現地の興行でも、メディア、関係者からそんな風に声をかけられることが格段に増えた。井上の実力が認められていることは、アメリカの各主要媒体のパウンド・フォー・パウンド・ランキング(全階級を通じた最強ランキング)で軒並み上位にランクされていることからも明らかだ。2017年にカリフォルニアで一戦を行っている井上が、初のラスベガスでどんな試合を見せるか、業界内での注目度は高い。

ESPNと独占契約、「米でもなじみの存在に」

もっとも現在のそうしたうわさ話は、あくまでボクシング関係者、コアなファン限定のものだ。今後のポイントは、この話題をよりライトなファンの間にどうやって広めていくか、である。最近でもマニー・パッキャオ、ノニト・ドネア(ともにフィリピン)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)といった外国籍選手をスターダムに導いた88歳の大ベテランプロモーター、ボブ・アラムが率いるトップランクの手腕がここで改めて問われる。

「ESPNのバックアップも受け、試合前後には様々な関連プログラムで盛り上げていくつもりです。そのおかげで、井上はアメリカでもなじみの存在になるでしょう。大きなファンベースを持つ選手になるように後押ししていきたいです」

アラムのそんな言葉通り、トップランクは現在、スポーツ専門局、ESPNとの独占契約の真っただ中だ。米国内で9000万人もの視聴者数を誇るESPNも、最近は契約者の伸び悩みが懸念されてきたが、新たに動画配信サービスのESPN+(プラス)に力を入れて巻き返し中。その影響力は依然として絶大で、各地のスポーツバーやレストラン、空港などのモニターではESPNの番組が延々と流されている。トータルの視聴者数は表に出てくる視聴率、契約者数などだけでは測れないものがある。

ボブ・アラム氏(左)が率いるトップランク社はミドル級王者の村田諒太のプロモートも行っている=共同

ボブ・アラム氏(左)が率いるトップランク社はミドル級王者の村田諒太のプロモートも行っている=共同

4月の試合が近づけば、全米のスポーツバーで井上のハイライト、ドキュメンタリー、インタビュー、そして試合が放映されるのだろう。酒場でスポーツを見る習慣のない日本のファンには実感できない部分かもしれないが、ESPNを通じて、井上も米スポーツ界の日常の一部になることができるのだ。

もちろんスターダム獲得にはインパクトのある勝ち方が必須だ。井上がアメリカでも派手なKO勝ちを続け、バーやレストランでそのハイライトを目にするファンをも感心させられるか。トップランク社は"モンスター"を中・長期的な視野で効果的にプロモートし、世界的な英雄となったパッキャオの域とまではいかないまでも、東西両海岸で1万人以上の観客を集客するようになったロマチェンコのようなスターに育てられるか。井上、トップランク、ESPNというパワートリオが手を組み、新たな世界戦略が始まろうとしている。

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3団体王座統一戦に向け、記者会見をするWBA、IBFバンタム級王者の井上尚弥。右は大橋秀行会長=共同共同

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