太宰府「観光客 例年の半分」新型肺炎 消費冷やす
佐賀や沖縄で国内客キャンセルも

2020/2/7 20:07
保存
共有
印刷
その他

新型コロナウイルスの感染拡大で、九州・沖縄の小売りや観光産業へのダメージが広がっている。中国政府による団体旅行の禁止やクルーズ船の寄港中止で、福岡・天神や太宰府など、1月中旬までにぎわっていた繁華街や観光地から中国人観光客が急減した。訪日消費の冷え込みだけでなく、日本人客の消費にもマイナスの影響が出ている。

中国人など訪日客が激減している(7日、福岡市)

中国人など訪日客が激減している(7日、福岡市)

「訪日客が半数を占めていたので、売り上げは例年の3分の1ほど。春節は書き入れ時だったので残念」。福岡市の商業施設、キャナルシティ博多近くの飲食店店長は嘆いた。同店の春節期間の中国人客が前年同期比で6割も減ったためだ。

中国人客でにぎわっていたドラッグストアも客足が急減している。市内にある店舗は「マスク特需が2週間ほどあったが、在庫はもうない。3月以降も減るとマイナスの影響が大きい」と話す。

福岡市のある百貨店では春節の間、免税カウンターを利用した中国人観光客が前年同期比2割以上減少。化粧品売上高は2~3割減っている。

同市の別の商業施設の担当者は「日本人客も外出を控えており、ゴールデンウイークまで回復が見込めない」とこぼす。JR九州が運営するホテルでは、1月末~4月末の団体客のキャンセルが340室、約800万円分にのぼった。

大分県の別府・鉄輪の観光名所「海地獄」を運営する千寿智明社長は「中国人客は前年比1割ほど減っている。2月の客足で影響を見極めたい」と話す。毎年春節時期は中国人客でにぎわっていた太宰府市も「観光客が例年の半分ほどになった」(太宰府観光協会)。地元名産「梅ケ枝餅」を販売する甘木屋(同市)では1月27日以降中国人客の来店がほぼゼロに。店員の高田由美子さんは「普段の週末に比べ、売り上げが4分の1になった日もあった」と話す。

風評被害を懸念する声も出始めた。沖縄県ホテル協会によると、2月7日時点の宿泊キャンセルは1万195人となり、同協会は「日本人客のキャンセルも増えている」と指摘する。佐賀県旅館ホテル生活衛生同業組合は「武雄や嬉野といった温泉地の影響はそれほどでもなかったと聞いている。むしろ『中国人が泊まっているならキャンセルしたい』という日本人客に困っている感じだ」(担当者)と話す。

沖縄県では厚生労働省那覇検疫所が7日から、寄港前14日以内に中国本土に立ち寄ったクルーズ船が県内に寄港する際の検疫を強化。健康状態について質問票を配り、体温チェックなどを実施。乗員乗客全員の確認ができるまで上陸させないようにする。

この措置で数千人規模の大型船の場合、従来3時間ほどで上陸できたが、14時間かかる見込み。同所担当者は「今後、日帰りの船は上陸が難しいのではないか」と話す。

博多港(福岡市)ではクルーズ船のキャンセルが続いている。1月28日以降、伊コスタクルーズ社が運航する大型船など13隻の寄港が中止された。市の担当者は「今後もキャンセルが続く可能性が高い」とみている。

中国に進出している九州企業も影響を受けている。重光産業(熊本県菊陽町)が海外でフランチャイズチェーン(FC)展開する「味千ラーメン」は中国本土・香港の750店のうち、8割が休業に追い込まれた。春節開始時は武漢の12店舗を閉めただけだったが、現地の判断でほぼ全土に広げた。上海にあるスープ工場は現在、生産調整しているという。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]