嫡出否認「夫のみ」合憲が確定 最高裁が上告退ける

2020/2/7 18:55
保存
共有
印刷
その他

生まれた子との父子関係を法的に否定する「嫡出否認」の権利を夫だけに認める民法の規定は違憲として、神戸市の女性らが国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は7日までに、女性らの上告を退ける決定をした。5日付。規定は「合憲」として請求を退けた一、二審判決が確定したが、同小法廷としての憲法判断は示さなかった。

民法は結婚中に妻が妊娠した子は、たとえ夫以外の男性との間の子だとしても法律上「夫の子」と推定する「嫡出推定」を定めている。この父子関係を法的に否定する嫡出否認の権利は夫には認められているが、妻や子には認められていない。

こうした規定などがあるため、出生届を出さず、子どもが無戸籍になるケースが相次いでいるとの指摘もあり、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が見直しに向けて検討を始めている。

今回の訴訟の原告は女性と娘、孫2人の計4人。判決などによると、女性は夫の暴力から逃れて別居中の1980年代に別の男性との間に娘をもうけた。離婚後、男性の子として娘の出生届を出したが、嫡出推定の規定により不受理になった。暴力を恐れて元夫との関係を断っていたため、娘と孫2人は長期間無戸籍となり、元夫の死亡後の2016年に戸籍を取得した。

訴訟で原告側は「妻や子も嫡出否認の訴えを起こせれば、無戸籍にならなかった」と主張。一方、国側は妻や幼い子に嫡出否認の権利を与えると、扶養や相続などの権利が子の利益に反して奪われる事態も生じうるなどとして「規定には合理性がある」と主張した。

一審・神戸地裁判決に続いて原告側の請求を棄却した二審・大阪高裁判決は、父子関係を法的に早く安定させるため、嫡出否認の権利は限定的なのが望ましいと指摘。夫と子は嫡出推定で法的な父子関係となり、扶養や相続などの権利義務が直接生じる点を踏まえ、嫡出否認の権利を夫のみと規定することに合理性があると判断した。

一方で、妻子に嫡出否認の権利を認めるかは「国会の立法裁量に委ねられるべきだ」とした。

今回の最高裁の決定により、嫡出制度のあり方を国会の立法裁量に委ねた司法判断が確定し、法制審での議論が今後加速する可能性がある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]