商社大手の4~12月期、5社が減益 車・鉄向け低迷
総合商社の業績が低迷している。大手7社の2019年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は三菱商事など5社が前年同期に比べ最終減益となった。丸紅、双日が20年3月期通期の予想を下方修正した。米中摩擦を受け自動車や鉄鋼関連ビジネスが苦戦したほか、資源安が逆風となった。経営者からは新型肺炎の感染拡大による悪影響を警戒する声が相次いだ。
7社の10~12月期の純利益合計は前年同期比12%減り、3四半期連続でマイナスとなった。
7日に決算発表した住友商事は19年4~12月期の純利益が13%減の2113億円。北米で鋼管事業の回復が遅れ、金属事業の利益が152億円と5割減った。マダガスカルで手掛けるニッケル鉱山開発の損益は135億円の赤字だった。自動車製造などの輸送機・建機事業も3割減益だった。
他社も自動車ビジネスの苦戦が目立つ。三菱商事は持ち分法適用会社の三菱自動車の持ち分損益が赤字に転じた。双日もアジアでの新車販売減を受け、自動車事業の利益が7割減った。
資源価格下落も業績を直撃した。丸紅はメキシコ湾で手掛ける石油・ガス開発事業で約190億円の減損損失を計上した。埋蔵量の減少と油価の低迷が響いた。
一方、伊藤忠商事は最高益を更新した。4~12月期の純利益は7%増の4266億円。「(ビジネス展開する)エリアの分散や、事業規模の小さいグループ会社の利益貢献が効いた」(鉢村剛最高財務責任者=CFO)
先行きも不透明感が強まっている。双日は「コロナウイルスで(需要低迷の)出口が見通せず、経営環境は厳しさを増している」(田中精一CFO)として、20年3月期通期の予想を下方修正した。住友商の高畑恒一CFOは「コロナウイルスを巡って来期に影響が出てくる」と警戒する。