印ロがエネルギー、軍事で接近、北極圏開発参画

2020/2/6 21:24
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【モスクワ=小川知世】ロシアとインドが急速に接近している。ロシアの石油最大手は5日、北極圏の油田開発にインドが参画すると発表した。両国はロシア製ミサイル防衛システムの導入を2021年までに始めることでも一致した。エネルギーと軍事の両面で連携強化を演出し、トランプ米政権との駆け引きに利用する思惑が透ける。米国がインドへの反発を強める可能性もある。

インドはロシア製ミサイル防衛システムの導入を目指す(19年3月撮影、ロシア西部のカリーニングラード州)=ロイター

政府系ロスネフチのセチン社長がニューデリーで、インドのプラダン石油天然ガス相と会談し、同社が主導する北極圏の資源開発計画「ボストーク・オイル」への印企業の参画で基本合意した。両国企業が加わる作業部会を立ち上げて詳細を詰める。ロシア南部の港から20年に最大200万トンの石油を輸出する契約も印国営石油インディアン・オイルと結んだ。

ボストークはロシアのプーチン大統領の側近、セチン氏が音頭をとる一大事業だ。東シベリアの複数の油田を開発し、生産量は30年までにロシア全体の2割近くに当たる年1億トンに達する可能性がある。ロシアは米中に次ぐ石油消費国インドを最大の供給先とみる。投資額は10兆円を超えるとされ、セチン氏は19年12月に訪日し、日本企業にも出資を要請している。

軍事協力の進展もアピールした。ロシア連邦軍事技術協力庁の幹部が5日、インドで開かれた防衛産業展示会を訪れ、ミサイル防衛システム「S400」の同国への納入見通しを確認したとタス通信などに明かした。21年末までに納入や運用に向けた研修を始めるという。米国の反対にもかかわらず、インドが導入契約時の計画通りに進める構えを示した。

同幹部はインド向けのロシア製自動小銃「カラシニコフ」の共同生産を20年に始める用意があるとも語った。ロシア製戦車の現地生産の許可も28年まで延長し、約460両がつくられるという。軍拡を進めるインドは米国などとの交渉でも武器の自国内生産を訴える。ロシアはこの要請に応じ、過去3年間で150億ドル(約1兆6500億円)の兵器を受注した。

印ロ両国は米国や中国との関係をにらんでいる。インドは対中けん制で協力するトランプ政権から関税優遇措置を停止された。米国による対イラン制裁で、イラン産原油の輸入停止を迫られ、調達先の多角化を進めている事情もある。国境問題で対立する中国とも、対米を念頭に貿易拡大に向けた協議を検討している。米中ロをてんびんにかけ、利益を引き出す狙いが透ける。

ロシア側は欧米の対ロ制裁が長期化しており、中国に続いてインドとの結束強化に動いた。対米関係は膠着し、対話の呼び水としたい核軍縮協議も進捗は鈍い。新型肺炎の流行で、最大の貿易相手国である中国の経済減速に懸念が強まっており、インドとの取引拡大を急ぎバランスを取る思惑もある。

米国は反発しそうだ。トランプ政権は19年にS400を導入したトルコに対し、最新鋭戦闘機の売却を凍結し、一段の制裁もちらつかせて圧力をかけている。米印は17年に米汎用戦闘機の共同生産で合意するなど、インドは米国にとって有望な武器輸出市場でもある。 米ロは「日米印」、「中ロ印」という3カ国の枠組みでそれぞれインドの取り込みを図ってきた。ロシアがもくろむ米印の分断は中国の利益とも一致する。

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