太宰治「グッド・バイ」が大人向けラブコメ映画に

2020/2/13 2:00
保存
共有
印刷
その他

大泉洋(右)演じる田島は愛人たちとの別れを画策する(C)2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ

大泉洋(右)演じる田島は愛人たちとの別れを画策する(C)2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ

太宰治の未完の遺作に着想を得て、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が舞台化した「グッドバイ」。映画「八日目の蝉(せみ)」で知られる成島出監督が、2015年に初演して大きな話題を呼んだこの舞台にほれ込み、KERAの戯曲を原作に映画「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」(2月14日公開)を完成させた。「舞台とも違う映画の笑いのリズムを楽しんでほしい」と監督は話す。

小池栄子(左)は舞台版に続いて怪力のキヌ子にふんする(C)2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ

小池栄子(左)は舞台版に続いて怪力のキヌ子にふんする(C)2019『グッドバイ』フィルムパートナーズ

終戦から間もない復興期の日本。文芸誌編集長の田島周二は乱れた生活を改めると決意し、闇物資の行商人キヌ子を妻に仕立て、愛人たちに別れを告げようと画策する。太宰の「グッド・バイ」は新聞連載のユーモア小説として執筆されたが、13回分を書いて太宰が自死。KERAはそれに続く物語を新たに書き上げ、軽快なスクリューボール・コメディーにした。映画は奥寺佐渡子が脚本を手がけ、「舞台の基本的な流れは踏襲しつつ大人のラブ・コメディーを目指した」と監督は語る。「若い世代のラブコメはあっても、大人が楽しめる作品はなかなか日本映画にない。自分自身でも大人のラブコメが見たかった」という。

成島出監督

成島出監督

だめ男だが女にもてる田島を大泉洋、キヌ子は舞台版に引き続き小池栄子が演じた。とりわけキヌ子は力持ちで大食い、ダミ声の美人という個性的なキャラクターだ。「モンペ姿で俵を担ぎ、丼めしを食べ、美しいドレスも着こなす。それが似合う日本の女優はそう多くない。小池さんには欧米の女優に通じるスケールの大きさがある」と監督。

キヌ子のほか、夫を戦争で亡くした保子(緒川たまき)、挿絵画家のケイ子(橋本愛)、内科医の加代(水川あさみ)の田島の愛人たち、本当の妻(木村多江)ら女性たちの力強さに魅力を感じ、映画化を熱望したと監督は言う。「自立していて生命力にあふれ、田島をふり回す。現代女性が見ても格好いい女性たちではないか」。成島監督にとって大病を患った後の復帰作でもある。撮影現場は明るく、幸福感に満ちていたという。「笑いにはパワーがあると改めて実感した。この幸福感が(観客に)伝われば」と話している。

(関原のり子)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]