欧州委、EU拡大手続きで改革案 独仏の対立露呈の恐れも

2020/2/6 0:35
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【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、EU拡大手続きの見直し案を公表した。拡大に慎重なフランスなどに配慮し、バルカン諸国などを想定する加盟候補国の改革が後退したと判断した場合は、加盟国に交渉を停止させる権限を与えることが柱。ドイツは拡大を支持しており、今後の議論で独仏の対立が表面化する可能性もある。

EU拡大手続きの見直し案を公表するバルヘリ欧州委員(5日、ブリュッセル)=ロイター

改革案を公表したバルヘリ欧州委員(近隣・拡大政策担当)は5日の記者会見で「EUの目標はバルカン半島6カ国の加盟だ」と強調した。EUはモンテネグロ、アルバニア、セルビア、北マケドニアを加盟候補国と位置づけ、コソボとボスニア・ヘルツェゴビナを潜在候補国としている。

現行の制度では27加盟国が加盟候補国との交渉入りを承認すると、欧州委が交渉を主導し、「法の支配」「市場経済」などの分野でEUの基準に向けた改革が進んでいるかを年ごとに評価していた。今回の見直し案では加盟国の判断により交渉を止められる権限を明記した。候補国が改革を十分進めれば、加盟前でもEU機関の投融資が受けられるなどのインセンティブも盛った。

改革案の背景では、欧州委が北マケドニアとアルバニアと交渉を開始するよう促した加盟国への勧告に対し、フランスやオランダ、デンマークなどが難色を示している。各国は表向き「拡大手続きが不透明」といった理由を挙げたが、本音はバルカン諸国から移民が入りやすくなることを懸念しているもようだ。各国は移民排斥を訴える急進政党が支持を伸ばしている事情を抱える。

これに対し、ドイツや東欧などは加盟国拡大を支持する。バルカン半島では冷戦崩壊後、欧州史上最悪の民族紛争が起きた経緯があり、各国をEUに取り込むことで地域の安定を実現する思惑がある。地域でロシアや中国、トルコが影響力を拡大しつつあることも意識しているとみられる。

欧州委はEUの国際社会での存在感を維持したいという思いが強い。英離脱という初めての加盟国減少を受け、「拡大の方向性を内外に示すことが大切」と欧州委幹部はいう。3月のEU首脳会議で手続き改正で一致し、5月のEU西バルカン首脳会議で北マケドニア、アルバニアとの加盟交渉の開始で合意するシナリオを描くが、マクロン仏大統領らが賛成するかは見通せていない。

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