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和牛輸出、金額・数量とも最高更新 消費者の裾野広がる
単価は3年連続下落、焼き肉など手ごろな部位人気で

2020/2/6 11:30
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神戸牛などのブランド和牛は海外からの人気も高い

神戸牛などのブランド和牛は海外からの人気も高い

2019年の日本産牛肉の輸出が金額、数量ともに過去最高を更新した。10年と比べて金額は8.7倍、数量は8倍に増えた。アジア地域を中心に所得水準が上がり、消費者が中高所得者にも拡大した。ブランド牛だけでなく手ごろな肉の需要も増えたため、輸出単価は3年連続で下落した。20年は米国への輸出枠が広がるほか、中国向けも解禁を控えるなど輸出増への期待は強いが、新型肺炎の影響を心配する声も出ている。

日本が輸出する牛肉はほぼ全量が和牛だ。財務省の貿易統計によると、19年の輸出額は296億7千万円と前年比20%増え、政府が19年の目標に掲げた250億円を2割上回った。

輸出額の最多はカンボジアの86億7千万円で前年比54%も増えた。2位の香港も50億7千万円と23%増加。次いで台湾、米国と続く。カンボジアが多いのは同国経由で中国に移送されているためとの見方が市場では多い。

輸出量も前年比22%増の4339トンと政府目標(4千トン)を上回った。

輸出単価は1キロあたり6838円と同1.6%安くなった。3年前(7098円)に比べると4%ほど安い。輸出単価が下がったのは、食べ方や客層が広がり、高級部位だけでなく、比較的安い部位も含めて輸出量が増えたためだ。

従来、米国や欧州、香港、台湾などでは「サーロイン」や「ヒレ」などステーキに向く高級部位が人気だった。赤身肉が主流の海外ではサシの入った牛肉は珍しく、最高ランクのA5ランクの神戸牛といったブランド牛が輸出の中心となり、単価も高かった。

ただ近年は生活水準が向上したアジア圏を中心に日本スタイルの食肉文化が普及。アジア圏では特に薄切り肉を使うすき焼きや焼き肉を出す和食店が増え、「肩ロース」や「バラ(カルビ)」といった比較的手ごろな部位の需要が増えた。

1キログラムあたりの単価でみると、サーロイン(8169円)に対して、肩ロース(4841円)やカルビ(4769円)は4割ほど安い。

和食店が増え、現地客の争奪戦が激しくなったことも単価低下の一因だ。スターゼン輸出グループの新林浩嗣リーダーは「この1年でA5以外のA4やA3を求められることが増えた」と話す。別の輸出業者も「アジア圏では低価格志向が強まっている」と明かす。

和牛の国内相場自体が下がったことも響いた。指標となる東京市場の和牛卸値(A4、去勢)は19年平均で1キロ2411円。18年平均よりも2.5%安い。値段が高すぎて国内の消費者が離れた結果だ。

和牛の輸出量は国内生産量の2~3%にすぎず、なお拡大余地がある。特に今年は貿易協定が発効した米国向けは、200トンだった低関税の輸出枠が最大6万5005トンまで広がる。中国向けも年内に約20年ぶりに輸出が解禁となる見通しで「輸出増への期待は強い」(流通業者)。

もっとも、「香港や米国でわずかに荷余り感が出始めた」(輸出業者)との声もある。和牛の珍しさや憧れで消費が増えた局面を過ぎつつあるためだ。食べる部位やより買いやすい価格帯の提案に加え「ストーリー性など他との違いを出す要素も必要になってきた」(スターゼン海外本部の北本晶英副本部長)。

懸念は中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の行方だ。足元の輸出はなお堅調だが、流通業者には「中国などでの消費の行方に不透明感が強まっている」といった不安の声も増えている。

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