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トヨタが今期純利益上方修正、25%増 堅調中国リスクも

トヨタ自動車は6日、2020年3月期の連結純利益が前期比25%増の2兆3500億円になる見通しだと発表した。従来予想を2000億円上回る。市場全体が減速する中国で販売を伸ばし、米国では採算性が改善する。円安進行も収益を押し上げる。同日発表した4~12月期の純利益は17年4~12月期の最高益(2兆131億円)にほぼ並び、不況への抵抗力を示した。それでも足元では新型肺炎まん延で中国の消費が低迷するリスクが高まっている。トヨタはすでに中国の全工場を停止中。今後は日本の生産拠点への影響も危惧される。

20年3月期の売上高は2%減の29兆5000億円、営業利益は1%増の2兆5000億円を見込む。従来予想比では、売上高は据え置き、営業利益は1000億円上ぶれる。世界販売台数は1%増の1073万台(従来計画は1070万台)の見通し。中国のトヨタの販売台数は162万台(19年暦年ベース)と1割増え、シェアは6%と日系メーカーで首位だ。北米では販売店の値下げ原資となるインセンティブ(販売奨励金)を効率的に抑制したことや新車効果が押し上げる。

同日発表した4~12月期の売上高は前年同期比2%増の22兆8301億円、営業利益は6%増の2兆587億円。純利益は41%増の2兆130億円で過去最高益(2兆131億円)にほぼ並んだ。グループの世界販売は2%増の814万台だった。

好調を支えるのは相次ぐ新モデルの投入だ。調査会社マークラインズによれば、トヨタが18~19年に投入した新モデル(車種ベース)を16~17年と比べると、米国は2倍の10、中国で11倍の11だった。独フォルクスワーゲン(VW)は米国で4割増、中国で2倍。米ゼネラル・モーターズ(GM)は米国で半減、中国では1割増どまりだ。ホンダは中国横ばい、米国が8から3に減った。

売れ筋の新型車を切れ目無く投入し、需要を獲得できた背景にはトヨタの新たな設計開発手法である「TNGA」の存在がある。車のサイズごとに骨格部品やエンジンなどを共通化。多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」や「カローラ」シリーズなど主力車種の新型車展開の本格化につながっている。豊田章男社長は「経営環境が悪化しても地味でも着実にコツコツと成長する」と話す。

一方、先行きは不透明だ。新型コロナウイルスまん延で消費や生産への影響が懸念されるからだ。

すでに韓国・現代自動車は中国からの部品供給が滞り、韓国国内3カ所にある全工場の稼働を順次停止した。トヨタはホンダのように湖北省武漢市に工場は無いが、9日まで中国の4工場の稼働停止を決めた。トヨタの中国法人は12月期で決算には3カ月前の数値を連結させるため、今期は中国悪化の影響は無い。

ただ中国は世界にモノを供給する基地でもある。例えば、グループのトヨタ紡織は浙江省で生産するシートカバーを日本に輸入している。トヨタ系の中央発条も中国で作ったドアロックケーブルなどを日本向けに供給している。

11年に起きた東日本大震災やタイの大規模洪水で、トヨタは一部生産停止に追い込まれる事態になった。その教訓からサプライチェーン(供給網)の見直しを進め棚卸資産回転日数は19年3月期で平均30日強。前回、症急性呼吸器症候群(SARS)が起きた当時の同22日前後より長くなっており、それだけ蓄えがあることを示す。それでも様々な業種で生産停止が長引けばトヨタの国内生産拠点に影響が出る可能性がある。

中国国内の消費低迷も業績の重荷となる。中国販売はSARSが流行した03年は約10万台だったが、19年には16倍に増え、世界販売台数の15%を占めるまでになったからだ。トヨタは中国販売を20年に176万台、21年に約190万台へ増やす計画を部品メーカーに伝えている。

昨年12月、トヨタは証券アナリストを集めて懇親会を開催した。プレゼンテーションで26年3月期の営業利益のイメージを紹介した。CASE対応などの先行投資が減益要因となる中、商品強化や原価低減で20年3月期よりも利益を成長させるというメッセージを込めた内容だった。その言葉通り足元では堅調さをみせた。新型肺炎まん延の影響をこなせるかどうかが注目される。(名古屋支社 押切智義)

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