EU、対イラン制裁手続きを事実上棚上げ
危機回避は手詰まりに

2020/2/5 1:46
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【ドバイ=岐部秀光、パリ=白石透冴】欧州連合(EU)は、核合意からの逸脱を進めるイランをけん制するねらいで英国、ドイツ、フランスが発動した「紛争解決メカニズム(DRM)」の手続きを進めず、事実上、棚上げとする方針だ。3、4日にイランを訪問したボレル外交安全保障上級代表がロウハニ大統領らに伝えた。

3日、テヘランで欧州連合(EU)のボレル氏(左)と握手するイランのロウハニ大統領(イラン大統領府のサイトより)=ロイター

国連の対イラン制裁につながる動きがイランの暴走を招きかねないためだ。しかし、米イランの対立をめぐる危機打開の具体策はみえず、手詰まりに陥っている。

ボレル氏はテヘランで記者団に「国連の安全保障理事会に(制裁再開の判断を)持って行くような厳密な時間の制限に直接向かうことは避けることで合意した」と述べた。DRMの発動はイラン核合意を崩壊に導くのではなく、あくまでもこれを守ることが主眼であるとの考えを強調した。

ロウハニ大統領は「イランは核合意の義務に戻る用意がある」と発言した。イランは米抜きで核合意を守ろうとする欧州による経済支援に期待をつないでいる。

DRMではまず当事国による合同委員会を開き、15日以内に解決策を見つけるなどとしている。解決しない場合、当事国外相が15日以内に解決する。こうした過程を経て最短で65日で国連の制裁が再開する可能性がある。

だが核合意の文言は曖昧で、解釈の余地がある部分がある。例えば当事者の合意があれば解決に至るまでの日にちは変えられるなどと規定しており、実際にどんなスピードで制裁再開にたどり着くかは当事国が変えられる仕組みだ。

欧州は制裁再開よりも、まずはDRMの発動宣言でイラン側に揺さぶりをかけたかったのが本音だ。DRMが定める各会合を急いで開けばイランの態度の硬化を招いて合意が完全に崩壊する可能性がある。

これまでのところ、米国・イランの仲介役となろうとしたフランスの試みは失敗に終わっている。2019年夏にはイランに金融支援案を持ちかけたが、米国が難色を示したことなどでうやむやになった。

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