WHO、新型肺炎「パンデミックではない」
観光業界と電話会議へ
【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)は4日、中国を中心に感染が広がる新型コロナウイルスによる肺炎について、現時点では「世界的な大流行(パンデミック)にはなっていない」との見解を示した。特定の地域で流行する「エピデミック」の段階にあるとした上で、さらなる感染拡大の防止へ、冷静な対応を呼びかけた。

WHOの感染症の専門家、シルビー・ブリアン氏がスイス・ジュネーブで記者会見した。これまでのところ新型コロナウイルスが突然変異した証拠はないとし、「非常に安定している」と説明した。ウイルスは突然変異すると、感染力が一気に増す恐れがある。
ただ、各国で恐怖感は広がっている。感染防止対策として、一部の国は最近中国に滞在した人の入国を禁止したほか、航空会社では中国への運航を見合わせるケースが相次ぐ。WHOは週内にも観光関連業界と電話会議を開くことを明らかにした。最新情報を提供した上で、必要な対策などについて助言する。
一方、一般の人はマスクを着用する人が増えているが、ブリアン氏は「マスクだけでは十分ではない」と指摘。頻繁な手洗いなどその他の衛生対策と併せて講じることが重要とした。新型コロナウイルスの感染者は2万人を超え、大半は中国に集中する。
WHOは2009年、当時流行した新型インフルエンザについて41年ぶりにパンデミックの宣言を出している。