カウリス、不正アクセス検知の機能拡充

情報セキュリティーのカウリス(東京・千代田)はクラウド経由で提供している不正アクセス検知サービスの機能を拡充する。このため米セールスフォース・ベンチャーズや関西電力から約3億円を調達した。資金は機械学習などのエンジニア採用に充て、開発体制を強化する。
三菱UFJキャピタル(同・中央)を含めた3社が新たにカウリスの第三者割当増資を引き受けた。セールスフォース・ベンチャーズはクラウド経由でサービスを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)分野で多くの投資を手がけており、ノウハウ提供などでカウリスを支援する。
銀行口座などへの不正アクセスを検知するサービス「FraudAlert(フロードアラート)」に、急増している偽サイト(フィッシングサイト)への対策を追加する。架空の名義による口座開設や他人になりすましたクレジットカード利用などを常時監視できるように、自社システムのセキュリティーも高める。
フロードアラートでは人工知能(AI)が金融機関のネット口座や電子商取引(EC)サイトのアカウントへのログインの記録から不審な端末からのアクセスを機械学習し、検知している。調達した資金で機械学習のエンジニアを増やし、AIを使った新機能の開発を進める。
金融機関をはじめ約20社が導入している。2019年3月からは政府の規制緩和の枠組み「サンドボックス制度」を使い、電力設備情報をもとになりすましによる口座開設を防ぐ実験を関西電力と実施した。同年10月に同社と業務提携し、事業化してサービス提供を始めた。
(山田遼太郎)