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90切りの現実考察とそれを可能にする練習法(中)

 アマチュアレッスン界のカリスマが、月1ラウンド・週1練習が精いっぱいの100切りゴルファーを90切りゴルファーに変身させる方法を伝授。まずは90切りとはどういったゴルフなのか。「そのことをしっかり把握してから練習すべきことを考え、実践することだ」と久富章嗣さんは言う。では、それはどんな練習を行うことになるのか。都内の練習場で実際に体験してみた。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.45」から)

《練習1》180ヤードのドライバーショット

久富 まず、最初にドライバーショットの練習です。この練習の目標は、90切りならばドライバーで180ヤードの「ショットガン・ショット」が打てるようになることです。もし100切りが目標なら150ヤードの「ショットガン・ショット」から始めましょう。

──150ヤードなら、ドライバーで打たなくてもミドルアイアンでもいけそうですが。

久富 もちろん、ティーショットは何で打っても構わないのですが、実際には皆さん、ドライバーを持ちますよね。それにダボオンの方もボギーオンが目標となっていくのですから、まずはドライバーを使って150ヤードを打ち、「ショットガン・ショット」ができたら、180ヤードを練習すればよいのです。

──私の場合は90切りが目標なので180ヤードから練習したいと思います。

久富 いいでしょう。ポイントは3つあります。(1)体全体の筋肉を使って、(2)ゆったりしたスイングを行い、(3)ミート率を高める。180ヤードですから強く、速く振る必要はありません。だけど、手や上半身だけを使って合わせるような打ち方ではスイングが安定しません。最初からドライバーを持つと力が入ってしまうので、まずは飛距離を抑えることに慣れるためにも、ティーアップしたボールを5番アイアンで100ヤードを打つところから始めましょう。では、始めてください。

5番アイアンの100ヤード
5番アイアンを持ち、スタンスを狭め、体全体の筋肉を使い、ゆったりとしたスイングで、ミート率を高める
 5番アイアンを持って打席に入る。ボールをティーアップして3つのポイントを復唱してからハーフスイングでボールを打つ。すると低い弾道で右にスライスしてしまった。飛距離はキャリーで120ヤードを超えている。

久富 上半身に力が入り過ぎています。それでフルショットしたら「ポップコーン・ショット」になってしまいますよ。それと5番アイアンで距離は100ヤードを打つわけで、今のスイングでは飛ばし過ぎです。

──なかなか難しいですね。100ヤードを打とうとすると、合わせにいって上半身で打ってしまいます。体も突っ込んで低いボールになってしまう。普段は左に引っかけることが多いので注意したら今度は右に出てしまいました。

久富 前傾した軸をキープして腕をブランブランと脱力します。それと5番アイアンで100ヤードなら9時~3時のスイングでも大きいくらいです。今のは10時~2時のスイングになってしまっています。もっと振り幅を小さくして、ゆったりと振りましょう。

 注意点を復唱しながら何度か素振りをしたのちにティーアップしたボールを打つ。少しずつ芯に当たるようになり、ボールも100ヤード先に集まりだした。

久富 いいですね。100ヤードにそろってきました。私はこの練習を「思考の脱力」と呼んでいます。力を抜いて打ちましょう、と言ってもクラブを持てばどうしても力が入ってしまうものです。どうしてかというと、誰もが本能的に「遠くに飛ばそう!」と思ってしまうからです。そこで今度は意識的に「飛ばないようにする!」と思いながら打つと、インパクトだけが緩んだ、先ほどの1打目のようなボールになってしまいます。

──わかります。右がOB、左が池のようなホールで大事にティーショットを打とうとするとかえってOBに行ってしまったりすることがあります。そこで、そういった状況のときは意識せず思い切って振るようにしています。

久富 それでもひどいショットになってしまいますよね。運を天に任せた一打になってしまうからです。ですからそのような状況の場合は今できたように「100ヤードを打つ」と決めて打つわけです。そうすると「飛ばそう!」から「コントロールして100ヤード先にボールを運ぼう!」に脳内の目標が変わり、「思考の脱力」が起きるのです。実際打ってわかる通り、5番アイアンで100ヤード先にボールを打つとすれば、全身の筋肉を使わないといけないのです。脱力しなければいけないのは「筋肉」ではなくて「思考」なのです。それでは続いてドライバーで120ヤードを打ってみましょう。最初はスタンスを閉じて打ちます。

 ドライバーを手に取り、いつもと同じ高さにボールをティーアップし、両足をくっつけてハーフスイングで打つ。最初はなかなかいい当たりが出なかったが、(1)体全体の筋肉を使って、(2)ゆったりしたスイングを行い、(3)ミート率を高める、と復唱しながら練習すると、だんだんと弾道が安定してきた。

久富 いいでしょう。最初はドライバーを持った瞬間に飛ばす気満々で「思考の脱力」ができていませんでしたが、徐々にできるようになってきました。ミート率も上がってきています。次にスタンス幅を少しだけ広げて150ヤードを打ってみましょう。150ヤードで「思考の脱力」ができるようになったら、いつもと同じスタンスで180ヤードを打ってみましょう。

ドライバーの180ヤード
ドライバーを手にし、足をそろえたスタンスで体全体の筋肉を使い、ゆったりとしたスイングでミート率を高める
 まず狭いスタンスで150ヤードを打ってみる。これは120ヤードの力感ですぐにできるようになった。次にいつもと同じスタンスで180ヤードを打つ。スイング幅はほぼフルスイングにしないと180ヤードに届かない。力加減が難しく、強く打ち過ぎて200ヤードも飛んでしまったり、ミート率が落ちて140ヤードになってしまったりとなかなかうまくいかない。

──180ヤードになると途端にうまくいかなくなります。

久富 180ヤードに飛距離を落としたからといって簡単になるわけではないのですよ。目いっぱいのマン振りを卒業してコントロールされた180ヤードの「ショットガン・ショット」を打つわけですから、それなりの練習量は必要です。うまくいかなくなったら最初の5番アイアンで100ヤードを打つところから再度始めてみてください。反復練習をしてドライバーでの180ヤードの「ショットガン・ショット」を手に入れましょう。

《練習2》150ヤードのセカンドショット

久富 次にセカンドショットの練習をしましょう。思い出してください。180ヤードのティーショットを打てれば、セカンドは150ヤード打てばよいことになります。そうすれば380ヤードのパー4なら50ヤードのアプローチでボギーオンできます。400ヤードを超える長いミドルホールでも3打目が100ヤード以内のアプロ―チショットで届くことになります。つまり150ヤードの「ショットガン・ショット」が打てれば、長いホールでもボギーオンの確率が上がり、90切りがグッと近づくことになります。

──つまり、セカンドショットは練習場で150ヤードの「ショットガン・ショット」を徹底的に練習するわけですね。

久富 その通りです。ですが、ボギーオンで90切りを目指す人なら、練習場で150ヤードの「ショットガン・ショット」ならそこそこ打てるのではないですか? しかし、コースに出るとそうは簡単にいかない。ここ一番で「手痛いミス」が出てスコアを崩してしまう。では2打目の「手痛いミス」にはどんなことが考えられますか?

──OB、池ポチャ、ガードバンカーに入れる、大ダフりで距離をロスする、といったところでしょうか。セカンドショットでグリーンに乗せよう、あわよくばピンに近づけたいと思うからでしょうか。

久富 その通りです。それはパーオンのゴルフであり、ボギーオンのゴルフを徹底できれば、第2打はアイアンでグリーン手前の広いエリアを狙うことになりますので、OB、池ポチャ、ガードバンカーに入れることはめったに起きなくなります。従って150ヤードの「ショットガン・ショット」で一番気を付けなければならないのが「大ダフり」です。トップは距離は稼げますからね。では「大ダフり」の原因は何かというと、本能的にボールを上げようと「すくい上げる」動作が入ることです。この「すくい上げる」動作はやっかいで、ありとあらゆるミスにつながります。

──「すくい上げる」動作を封じるにはどうしたらよいのでしょうか?

久富 スイングの基本、ダウンブローを習得する必要があります。レベルブローだと、いざというときに球を上げたいと思って「すくい上げ」てしまいやすいのです。今度ラウンドしたときに同伴者のプレーをよく観察してみてください。第2打目でミスしたときは大概がこの「すくい上げる」動作が原因です。今日は8番アイアンを使ったダウンブロードリルを3つ用意しましたので、一緒にやってみましょう。どれも「飛ばさない」で100ヤードショットを行うようにしてください。

〈1〉万歳ドリル

通常のアドレスの姿勢で構える。次に、アドレスの姿勢をキープしたまま手だけを頭の上まで「万歳」をするように上げる。手が上がったらそのままの状態で腰を回しトップの形を作る。そこからグリップをストンと落とすようにダウンスイングを始めて、ボールを上から打つ。手の力でスイングするのではなく、重力でヘッドを落とすイメージで、インパクトでは左ポケットの位置にグリップを持ってくる。

万歳ドリル
8番アイアンを持ち、両手を万歳し、腰を回してトップを作ってから振り下ろす

〈2〉オープンテークドリル

通常のアドレスの姿勢で構える。テークバックを始動したら、右手甲が下を向くように腕を内旋させる。トップの位置は万歳ドリルと同じように高いところまで持っていく。トップからダウンスイングにかけて、内旋した腕を元に戻すように外旋させる。インパクトではハンドファーストでしっかりボールをつかまえる。

オープンテークドリル
バックスイングで右手甲を下に向けていく

〈3〉かかと体重ドリル

通常のアドレスの姿勢で構えたら、右足のつま先を上げてかかとに体重がかかるようにする。そのままテークバックを始めて、トップで十分右腰を引くようにする。ダウンからインパクトまでつま先を上げたまま、かかと体重でスイングする。

かかと体重ドリル
アドレスで右足のつま先を上げてかかと体重にし、右腰を引くようにクラブを上げ、そのままスイングする

──実際に打ってみると、どれもなかなかうまくいきません。

久富 このドリルができないということは、ダウンブローに打てていないということです。8番アイアンで100ヤードショットを、この3つのドリルを行いながら練習してみてください。だんだんとダウンブローを打てるようになり、すくい打ちが出なくなります。

──3つのドリルはこの順番で行えばよいですか?

久富 順番は変えても構いませんし、このうちの1つに絞り込んで行っても構いません。「万歳」と「かかと体重」を組み合わせて行ってもよいと思います。いずれにしろ「すくい上げ」から「ダウンブロー」にスイングを作り変えるためには、やみくもにスイングしても効果はありません。8番アイアン+100ヤードショット+3つのドリルの組み合わせで「ダウンブロー」を習得してください。

(次回は2月24日に掲載予定。文:並木繁、協力:光ケ丘ユー・プラザゴルフレンジ)

 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマ向けレッスンの実力者。指導を受けたい人は、hisatomi-golf@jcom.home.ne.jpまで。
 レッスンの撮影は都営大江戸線光が丘駅、東京メトロ有楽町線・副都心線赤塚駅と東武東上線下赤塚駅から徒歩10分の練習場「光ケ丘ユー・プラザゴルフレンジ」(http://www.u-plaza.co.jp/)で行った。1階から3階まであるきれいな打席は全63、フェアウエーは130ヤードで広々した抜群の景観だ。
「書斎のゴルフ」公式ホームページはこちら。http://syosainogolf.com/index.html

書斎のゴルフ VOL.45 読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌 (日経ムック)

出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,430円 (税込み)

あなたのゴルフが100を切れない理由 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 久富 章嗣
出版 : 日本経済新聞出版社
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