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90切りの現実考察とそれを可能にする練習法(上)

 アマチュアレッスン界のカリスマが、月1ラウンド・週1練習が精いっぱいの100切りゴルファーを90切りゴルファーに変身させる方法を伝授。まずは90切りとはどういったゴルフなのか。「そのことをしっかり把握してから練習すべきことを考え、実践することだ」と久富章嗣さんは言う。では、それはどんな練習を行うことになるのか。都内の練習場で実際に体験してみた。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.45」から)
 ひさとみ・あきつぐ 1951年生まれ。日本大学ゴルフ部では主将を務め、アマチュアとして全英オープンの予選出場の経験を持つ。独自のゴルフ理論を展開し、これまでに多くのアマをシングル入りさせている。全国に厚い信奉者がいるアマ向けレッスンの実力者。指導を受けたい人は、hisatomi-golf@jcom.home.ne.jpまで。

──今日はゴルフレンジでの練習法がテーマです。特に我々のように月1ラウンドで週1回練習場通いが精いっぱいのゴルファーでも、何とか上達できる練習法を教えてほしいのです。

久富 一般的な月1ゴルファーの練習法ですね。本来ならば毎日練習場に通えば上達も早いのですが、会社勤めの方ならそうもいかない。とはいえ、「ゴルフの上達には時間がかかる」ということは忘れないでいてほしいのです。

──週1回の練習ではやはり足りないということでしょうか。ここ数年スコアが伸びなくて、平均スコア90切りを目前に足踏み状態です。それどころか最近は100を切るのがやっとのラウンドが多く、100オーバーも珍しくありません。

久富 週1回の練習でも90切りのゴルファーになることは十分可能です。私の教え子には月1ラウンド・週1練習でもシングルハンディになった方が何人もいます。「ゴルフの上達には時間がかかる」というのは、プロやトップアマになるためには「時間がかかる」という意味です。

──もちろん、プロを目指しているわけではないし、大して時間も使えませんが、停滞はしたくないです。

久富 本当にそう思っていますか? 皆さんを見ていると、ゴルフ雑誌のプロのスイングをお手本にドライバーショットを思い切り振っていますよね。「真っすぐ遠くに飛ばそう」としている。プロと同じことができるようになろうとしているわけです。しかし、「真っすぐ遠くに飛ばす」ための練習であれば、週1回行っても永遠にプロのようにはなれません。

──では、どのような練習をすればよいのでしょうか。

久富 私の生徒さんで週1回の練習でもシングルハンディになった方を見ていると、必ず自分のレベルに合わせた練習をしています。70歳オーバーのグランドシニアでドライバーが180ヤードしか飛ばないシングルさんがいますが、もっと飛ばそうと練習するのではなくアプローチとパターを徹底的に磨いています。つまり「真っすぐ遠くに飛ばす」だけがシングルへの道ではないということです。

──確かに、週1~2回の練習しかしていないのに常に90を切ってくる会社の同僚がいますが、才能の差なのかなと思っていました。

久富 才能の差が出るのはプロのレベルです。ある程度の期間ゴルフをやっていて月1ラウンド・週1練習であれば、誰でも90切りのゴルファーになれます。そのためには自分のレベルを把握して、どのようなプレーを目指すのかを明確にしましょう。

100切り、90切り、80切り、スコアの目標を明確にする

久富 まずは、スコアの目標をどこに置くのかを決めましょう。つまり、100切りを目指すのか、90切りなのか、80切りなのかです。100切りを目指す場合はダボオンのゴルフ、90切りが目標ならボギーオンのゴルフ、80切りならパーオンのゴルフと定義するわけです。

──私の場合は90切りが目標なので、ボギーオンのゴルフを目指せばよいことになりますね。

久富 90切りが目標なのですね。それではボギーオンのゴルフで90切りを目指すときの組み立てから説明しましょう。例えば380ヤードのパー4の場合、ティーショットを180ヤード、セカンドショットを150ヤード、3打目を残り50ヤードのアプローチという組み立てにするのです。つまり、あえて距離を求めず、ボギーオンのゴルフに徹するわけです。

──380ヤードのパー4であれば、ドライバーで230ヤード飛ばして、2打目を150ヤード打つようにしたいと思ってしまいます。でも、これはパーオンの組み立てですよね。しかし、それができるかといえば、現実的に厳しい。パー4のホールだとすぐにパーオンしようと思ってしまうのですが、それがいけないのですね。久富さんが言われるようにパー4でもボギーオンで組み立てれば、すごくやさしく感じます。

久富 もし90を切ろうとするなら確実にボギーオンをして、いかに「手痛いミス」を防ぐかが大事なのです。ナイスショットの連発で奇跡的にバーディーを取ってもマイナス1打にしかならない。ところが、OBを打ったり池に入れたり、バンカーで大たたきをしたらすぐにダボやトリプルボギーをたたいてしまう。大たたきしてしまうと、90切りは夢のまた夢になってしまうわけです。ではなぜ「手痛いミス」が出るのかわかりますか?

──やはり自分の技能以上のことを求めて無理をするからでしょうか。

久富 その通りです。最大飛距離を求めてドライバーをマン振りしたり、ロングアイアンでグリーンを狙ったりと、まるでプロと同じバーディー狙いのゴルフをしようとします。結果、ほとんどがパーオンなどできず、「手痛いミス」を犯して大たたきになってしまうのです。ところが、最初からボギーオン狙いならどうでしょう。380ヤードの例なら、1打目をドライバーで180ヤード打てればよいわけですから無駄な力みもなく、ミスショットの確率はグンと減ります。2打目は150ヤードなのでミドルアイアンでOKです。曲げたとしてもガードバンカーには届かないので比較的平らなライから3打目を打てます。3打目は50ヤードのアプローチをグリーンに乗せるだけと思ってポーンと楽に打てばよいわけです。

──そうやって考えると、ドライバーの飛距離は関係なくなりますね。

久富 そうです。90切りを目指すのであれば、ドライバーの飛距離は180ヤードあれば十分なのです。2打目もダフりさえしなければ、多少曲げても当たりが薄くても関係ありません。最後のアプローチは練習する必要がありますが、寄せようと思わなければ大して難しくはないでしょう。そう思うと意外とうまく寄ってしまうものです。とにかく、3つのショットとも「真っすぐ遠くに飛ばす」練習はしなくてよくなります。では、週1練習ゴルファーが何を練習すればよいのか? ここからが本題です。

90切りが目指すのは「ショットガン・ショット」

──「真っすぐ遠くに飛ばす」必要がないとすれば、練習場でどのようなことを練習すればよいのか、わからなくなります。

久富 その前に、ショットの精度について定義しておきましょう。私はショットの精度を3段階に分けて考えています。1段階目が「ポップコーン・ショット」、ポップコーンをフライパンの上で作るとパンパンとあっちこっちに跳ねてどこに行くかわからないですよね。右にも左にも思いもよらないところに飛ぶショットをこう呼んでいます。このショットを打つ段階の人が目指すのはダボオンのゴルフです。

──「ポップコーン・ショット」とは面白いし、言い得ていますね。

久富 2段階目は「ショットガン・ショット」です。ショットガンとは散弾銃のことでたくさんの小さな弾丸が広角に発射される銃で、クレー射撃や狩猟などに使用されています。ショットを一定の範囲内にコントロールして打てる場合にこう呼んでいます。ボギーオンのゴルフをする場合は「ショットガン・ショット」を打てなくてはなりません。

──なるほど。

久富 3段階目は「ライフル・ショット」で、的の一点を打ち抜くショットになります。つまりパーオンのゴルフ、プロやトップアマが目指すショットになります。

──つまり、90切りを目指すなら「ライフル・ショット」は必要ではなく、「ショットガン・ショット」で十分だということですね。そのあたりのことをまったく考えずに練習やプレーをしていました。

久富 それはいけません。そしてそのポイントは確実に「ショットガン・ショット」を打てるようになるということです。ドライバーショットなら飛距離は望まず、必ず2打目を打てるところ、できればフェアウエーですが、ボギーオンならラフでも構いません。この場合の目標は絶対に林に入れたり、OBや池に打ち込んだりしないことです。

──練習場でのドライバーなら「ショットガン・ショット」が打てるのですが、コースに出ると緊張のせいか、右や左に曲げて「ポップコーン・ショット」になってしまいます。

久富 それは飛距離を出そうと目いっぱいのスピードでスイングするからです。カーレースで例えるとオーバースピードでコーナーに突っ込み、コントロールを失ってあえなくクラッシュしてしまうのと似ています。皆さんと一緒にラウンドすると、毎ホール、ドライバーショットの飛距離を同伴者と比べています。ブンブン振り回すので当たれば飛ぶのかもしれませんが、これでは「ポップコーン・ショット」を卒業することはできません。何遍も言いますが、90切りゴルファーになるためには飛距離は関係ないのです。

──飛べばよいというものじゃないわけですね。

久富 その通りです。逆に飛距離の出る人はショットガンの銃弾の着地点が遠くになるので、打ち出し幅が狭くなり難しくなります。若い人で力が有り余って遠くには飛ばすけれど、すぐOBになってしまう人がいるでしょう。ボギーオンのゴルフなら飛距離が出ない人のほうが有利なのです。

──でも、どうしても飛距離を比べてしまいます。

久富 まあ、飛ばしもゴルフの楽しさの一つですからわからないではないですが、それだと月1ラウンド・週1練習のゴルファーはいつまでたっても90切りゴルファーにはなれないということです。ですから、飛距離の呪縛から逃れるために、1番ホールのティーイングエリアで「今日はドライバーを持つ14ホールすべてで180ヤードの『ショットガン・ショット』を打ちます!」と宣言するのです。恥ずかしいようなら心の中で宣言しても構いません。そして180ヤードの「ショットガン・ショット」が成功したら、スコアカードに○印を付けるのです。もちろん200ヤード飛んでしまったら、たとえナイスショットであっても×印をつけます。こうしたことを行うだけで、ティーショットの成功率を高めていくことができます。自然に90切りができてしまうのです。

──わかりました。今度、中学時代の同窓会コンペがあるので試してみたいと思います。同級生だといつも以上に飛距離で負けたくないと振り回してしまいます。ところで距離は180ヤードでないとダメですか。中途半端な距離だと逆に難しいように感じます。

久富 ですから、練習場で180ヤードのドライバーショットを練習するのです。ここからは練習場に移動して、ボギーオンのゴルフに必要な練習を実際に行っていきましょう。

──よろしくお願いします。

(次回は2月20日に掲載予定。文:並木繁、協力:光ケ丘ユー・プラザゴルフレンジ)

 レッスンの撮影は都営大江戸線光が丘駅、東京メトロ有楽町線・副都心線赤塚駅と東武東上線下赤塚駅から徒歩10分の練習場「光ケ丘ユー・プラザゴルフレンジ」(http://www.u-plaza.co.jp/)で行った。1階から3階まであるきれいな打席は全63、フェアウエーは130ヤードで広々した抜群の景観だ。
「書斎のゴルフ」公式ホームページはこちら。http://syosainogolf.com/index.html

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価格 : 1,430円 (税込み)

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