ニチレイフーズ、AIで工場の人員配置最適化

ニチレイフーズは4日、日立製作所の人工知能(AI)技術を使った新システムを自社工場で導入したと発表した。生産に必要な人員の配置計画を自動で立案する。従来は熟練の担当者が経験に基づき計画を立てていたが、作業時間を10分の1に短縮。また人手不足が深刻化するなか時短勤務など細かな調整にも柔軟に対応することで、採用をしやすくする。
新システムは1月から国内4工場で導入し、運用を始めた。2020年度にも全11工場に広げる。
日立のAIが過去の生産計画や担当者の勘に頼っていた細かな判断までデータとして取り込み、商品ごとに効率のよいラインや、生産の順序、従業員の習熟度といった複合的な条件を総合して、最適な配置を示せるようにした。
食品工場は生産品目が多様で手作業も多く、従業員の配置も複雑になる。ニチレイフーズでは商品やラインの組み合わせなど1工場につき16兆通りの生産パターンがあるという。そのため、これまでは限られた熟練の担当者しか計画立案できなかった。
AIでは立案の時間を短縮できるだけでなく、急な生産変更や従業員の欠勤、早退などが生じてもすぐに練り直せるため、これまで1カ月単位で立てていた計画を1年先まで延ばすこともできる。
また人手不足への対応や働き方改革が求められており、従業員の時短労働や休暇取得率の向上などが工場では課題となっている。柔軟な働き方は配置計画を複雑にするが、人手を安定して確保するには必要な条件となっており、新システムで対応できるようにする。
ニチレイフーズは昨年、唐揚げなどに使う包装前の鶏肉加工品で、除去しきれない骨をAIで識別する技術を導入するなどしており、日立との協業で工場の生産性向上を進める。(柏木凌真)