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百貨店、春節の免税売上高2桁減 中国客の減少響く

新型コロナウイルス感染による肺炎が、訪日外国人(インバウンド)消費に影響を与え始めた。百貨店大手の2020年の春節期間(1月24~30日)の免税売上高は前年比2桁マイナスが目立ち、他の小売業なども消費が落ち込んでいる。1月27日の中国当局による団体旅行の規制でキャンセルが増えた余波とみられる。影響が長引くと、増加基調だった免税売上高が前年を割り込む可能性もある。

三越伊勢丹ではインバウンド比率が高い旗艦店3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)が昨年の春節期間(19年2月4~10日)比で2割減と落ち込んだ。春節期間の前半では売上高が伸びていたが、中国で団体旅行が規制されてから来店客数が減少。品目別では時計・宝飾品などの高額品や化粧品が急減した。

中国人観光客の落ち込みは航空便の旅客数から明らかだ。全日本空輸(ANA)は春節期間の中国路線の旅客数が前年の春節期間に比べ約10%落ち込んだ。日本航空(JAL)は1月22日から31日までの10日間で2月分の中国路線の予約のうち約25%がキャンセルになった。

高島屋では、春節期間の免税売上高が昨年の春節期間比で15%下がった。期間の前半では前年並みで推移したが、「1月29日からの免税売上高は昨年の春節期間比で3~4割減だった」(同社)。大丸松坂屋百貨店では春節期間中の免税売上高が約5%減。そごう・西武は約15%減だ。

新型肺炎の影響は訪日客人気の高い関西にも及ぶ。阪急うめだ本店(大阪市)は春節期間の免税売上高が1割減った。高島屋大阪店(同)では8%減だ。「29日ごろから中国人客が3~4割減った」(高島屋大阪店)という。関西の多くの百貨店では免税売上高の8~9割を中国人客が占める。

日本百貨店協会によると、19年の免税売上高は前年比2%増の3461億円。3年連続で過去最高を更新したが18年の伸び率(25.8%増)と比べ鈍化した。19年は中国当局が免税品の販売規制を強化し、中国の景気減退などで客数も伸び悩んだのが主因だ。団体旅行への規制が長引けば、年間の免税売上高の伸び率がマイナスになる可能性もある。

一方、ある大手家電量販店では春節期間の免税売上高が前年同期(春節期間)の9割未満になったようだ。1月25~26日は1割以上増えたが27日からの落ち込みが顕著だ。東京・池袋の大型ホテル、ホテルメトロポリタンでは春節期間中、中国人団体客のキャンセルが出た。通常は中国人の宿泊比率は3割を占める。

地方経済にも影を落とす。札幌市の秋元克広市長は3日の記者会見で、新型コロナウイルスによる同市の観光業への影響を推計したところ、3月末までに宿泊キャンセルが延べ13万3000人、損失額が約64億円に上るとの試算を明らかにした。秋元市長は「春節と雪まつりという特に中国からの観光客が見込める時期だったため、非常に大きな影響が出ている」と述べた。

秋元市長は「国内の方が出控えることも想定される。長期化のおそれも想定しながら、今後の経済対策を考えたい」と話した。

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