イラク新首相にアラウィ元通信相 大統領が指名

2020/2/2 4:19
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【カイロ=飛田雅則】イラクのサレハ大統領は1日、新たな首相としてムハンマド・アラウィ元通信相を指名した。ロイター通信などが伝えた。生活苦に抗議する反政府デモの激化でアブドルマハディ首相が2019年11月に引責辞任を表明したが、調整がつかず後任が不在のままだった。今後、閣僚の人選に入るが、有力ポストを狙う政党連合の駆け引きが活発になり、政権発足は難航が予想される。

1日にイラクのサレハ大統領が新首相に指名したムハンマド・アラウィ元通信相=ロイター

アラウィ氏は「もし政党連合が(閣僚として)候補者を押しつけ、圧力をかけてくるなら、私は辞任する」と強調し、各勢力に協力を求めた。同氏はデモ隊の訴えに理解を示し、市民の要求を考慮しながら、閣僚候補を選ぶと表明した。

イラクでは19年10月以降、政府に横行する汚職撲滅や、公共サービスの改善を訴える反政府デモが首都バグダッドなどで続いている。デモ隊と治安部隊の衝突で、これまで約500人が死亡している。

アラウィ氏が新首相に指名されたと伝わるとデモ隊は「アラウィを拒否する」と叫んだ。同氏は過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いたマリキ旧政権で通信相を務めた経験がある。そのためデモ参加者ら一般市民は、アラウィ氏が権益を握るエリート層に属し、政治の刷新は望めないとみているもようだ。

イラクの多数派イスラム教シーア派の指導者サドル師はアラウィ氏の首相指名について「イラクにとってよいステップだ」と述べた。その後、同師を支持する民衆グループと、反政府デモ隊はバグダッドの中心部で衝突した。

アラウィ氏は今後、閣僚選びを始めるが、議会の各勢力の調整は多難が予想される。議会では第1勢力のサドル師の政党連合と、第2勢力で親イラン民兵組織を率いるアミリ氏の政党連合は主要閣僚ポストをめぐり対立しそうだ。隣国イランはイラクを軍事、経済で支援し影響力を拡大させている。前回の18年5月の総選挙後、両政党連合は閣僚ポストを争ったことで、たびたび政治的な停滞を招いてきた。

イラクでは米国によるイラン革命防衛隊の精鋭部隊司令官の殺害と、イランによる報復をきっかけに緊張が続く。市民はIS掃討を名目に駐留する米軍の撤収を求めるなど反米感情も再燃している。イランは混乱を利用し、米国に近い政治勢力の切り崩しも狙っている。各政治勢力の対立が激化し政権発足が遅れれば、ISなど過激派組織が復活する余地を与えかねない。

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