武漢市内の邦人ほぼ帰国、避難生活長期化も

2020/1/31 21:13
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武漢市から第3便のチャーター機で帰国した邦人の滞在先となる国立保健医療科学院に入るバス(31日、埼玉県和光市)

武漢市から第3便のチャーター機で帰国した邦人の滞在先となる国立保健医療科学院に入るバス(31日、埼玉県和光市)

新型コロナウイルスが発生した中国・武漢市から、31日までに計565人の邦人がチャーター機で帰国した。同市在住邦人の大半にあたり、国は残る武漢市外に住む邦人ら約140人の帰国に向け、来週にも第4便を運航する。帰国者はホテルや研修施設に滞在しているが、当初数日間とされていた避難生活は2週間と長期化し、心身のケアが課題になっている。

第3便のチャーター機は31日午前に羽田空港に到着した。乗っていた邦人149人のうち、せきなどの症状があった25人が入院した。その他の帰国者は検査後、国立保健医療科学院(埼玉県和光市)の寄宿舎と税関研修所(千葉県柏市)に移った。搭乗前の中国側の検査で発熱などがあった7人は搭乗できなかった。

29日に到着したチャーター機の第1便では206人が帰国し、入院者などを除いた約190人が千葉県勝浦市の「勝浦ホテル三日月」に向かった。30日の第2便では210人が帰国し、97人が西ケ原研修合同庁舎(東京・北)に、87人が警察大学校(東京都府中市)に移った。

滞在生活は制約がある。ホテル三日月は国が借り切って宿泊費も負担するが、帰国者は大浴場や売店などの共用スペースの使用を控え、室内で生活するよう求められている。食事はポリ袋に入った弁当が各部屋の前に置かれ、当初は約160室のうち20~30室が相部屋だった。

個室の要望が強かったことから、国は第2便以降で使う施設では個室を確保した。たとえば保健医療科学院は約8畳のシングルルームで水回りはユニットバス。冷暖房や小型冷蔵庫を室内に備えているが、洗濯機はない。帰国者には最低限の肌着と洗剤を支給し、衣服は室内での手洗いを想定している。

個室や共用スペースにテレビやインターネット設備がないなど娯楽も限られる。

滞在期間について、厚生労働省は当初、帰国者が症状の有無にかかわらずに受けるウイルス検査で「陰性が確認されるまで」と説明していた。だが、第1陣の帰国者2人が無症状なのに感染していたことが判明。滞在先のホテル三日月でそれぞれと相部屋で一緒だった別の帰国者2人も濃厚接触者となった。

こうした経緯から、加藤勝信厚労相は30日、同省の対策推進本部会議で「最大2週間の滞在をお願いする」と期間の延長を表明した。同省の担当者は「帰国者により安心していただくため」と説明している。

感染症予防に詳しい東北医科薬科大の賀来満夫特任教授は「帰国者は、いつ自分が発症するか分からない不安を抱え、さらに閉鎖された空間で不自由な生活を強いられるという2重のストレスがかかっている」と指摘。「潜伏期間にあたる2週間は健康観察を続けなければならないが、テレビや個室を準備するなど精神的なケアを踏まえた感染症対応が必要で、今回を契機に見直していくべきだ」と話している。

来週にも第4便でさらに約140人の帰国が見込まれる。河野太郎防衛相は31日、新型肺炎に対応するため自衛隊の災害派遣命令を発出した。自衛隊員が武漢市から帰国した邦人の受け入れ施設に赴き、食事の配布や物資の調達を担う。派遣命令に基づき、防衛省が契約している民間フェリー「はくおう」を受け入れ先として開放する。当面は東京湾に停泊させる。

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