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証券、地銀囲い込み 野村は阿波銀行とリテール統合

SBIは出資で「連合」拡大

証券会社と地方銀行の連携が広がっている。野村ホールディングスは31日、傘下の野村証券が徳島県を地盤とする阿波銀行と包括提携すると発表した。昨年提携した山陰合同銀行に続き、個人向けの証券事業を統合する。地銀との連携では「連合構想」を掲げるSBIホールディングスが出資先を拡大している。証券事業の収益環境が厳しさを増す中、地銀との連携で生き残りを狙う競争が活発化してきた。

同日、会見した阿波銀行の長岡奨頭取は「1兆円を目指す」と目標を掲げた。徳島県内での両社の証券関連の預かり資産は合計7000億~8000億円にのぼり、提携でさらに増やす。

野村証券の新井聡副社長も「届けるべき金融サービスを届けられていないお客様は多く、提携によってトップラインの拡大を目指していく」と述べた。今年4~6月をめどに最終契約の締結を目指す。

提携では、まず会社分割で阿波銀行の利用者が持つ証券関連口座やシステムを野村証券に移管する。コンプライアンス(法令順守)監視を含む口座管理は野村が担い、顧客への営業は阿波銀行が担当する。野村からは90人の営業社員の大半が出向し、営業を支援する。

この結果、野村の徳島支店としての個人向けの営業機能は銀行に移るため、名称を変更して金融機関など法人向け業務に特化する。

野村は同様の仕組みは島根、鳥取県で展開する山陰合同銀行とも構築している。「思いが通じ合う金融機関があれば今後も提携していく」(野村の新井副社長)と今後も広げていく考えだ。

野村と地銀の提携の柱は役割分担だ。地域密着の地銀が顧客との接点を担い、管理やシステム、商品供給を証券が担当する。金融ビジネスについては金融商品の各種手数料が低下し、相続や資産形成など求められるサービスも高度化している。コスト面で強みがある分野に特化することで、効率化が狙える。

地銀と証券会社の連携を巡っては、ネット金融のSBIホールディングスが島根銀行福島銀行筑邦銀行に相次いで出資を決めた。野村は地域の有力銀行と個々に提携する「地域型」だが、SBIの場合は全国の地銀と広く提携する「連合型」だ。経営にも一定程度関与しながら、SBIがグループで持つフィンテックや運用サービスを提供し、収益力の底上げにつなげる。

出資先の地銀は最終的に10を超える可能性があり、2月に立ち上げる統括会社を通じて連合の拡大を目指す。統括会社にはSBIが51%を出資し、広く出資を求める。資本金は当初の100億円規模から1年半以内に300億円規模に引き上げる計画だ。同日、都内で決算説明会を開いた北尾吉孝最高経営責任者(CEO)は「(SBIが関わることで)質的な改善を目指す」と述べた。

地銀が主導権を握る連携もある。東海東京フィナンシャル・ホールディングスは横浜銀行など地銀を中心に7つの証券会社を共同出資で設立している。出資比率は銀行が過半で、東海東京は商品供給などの「黒子」役を務める。今後は東海東京が出資するフィンテック企業などのサービスをまとめたアプリを地銀向けに開放する方針だ。

地銀にとって証券関連は難しいビジネスだ。投資信託の残高が積み上がれば安定的な収益源になる一方で、相場変動の影響も受けやすく、赤字になることも少なくない。

一方、証券会社も個人向け事業は厳しくなってきている。手数料「ゼロ化」の波も押し寄せており、特に地方では営業力の強化と同時にコスト管理が課題となっている。地銀との連携は組み合わせとしては補完関係が多く、今年は野村、SBIや東海東京に限らず地銀との連携が増えそうだ。

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