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オリックス、ロック調の球団歌 背景に統合の歴史

とことん調査隊

プロ野球は2月1日に12球団がキャンプイン、新シーズンへスタートを切った。昨季パ・リーグ最下位からの巻き返しを期すオリックスは宮崎市で汗を流す。白球が空高く打ち上げられる光景で思い出されるのが球団歌の「SKY(スカイ)」。球界では珍しいロックサウンドが特徴だが、斬新なナンバーはどのようにして生まれたのか。

2004年のシーズン後にオリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズが統合、「オリックス・バファローズ」として再出発した。球団旗などはブルーウェーブのデザインが引き継がれた中、焦点になったのが球団歌。統合前のそれぞれの球団歌に対するファンの愛着は強く、いずれかを踏襲することは難しい。そこで、公募を通じ一新することになった。

寄せられた約200曲の中から選ばれたのが、関西を拠点に活動するバンド「MEGA STOPPER」のロックナンバー「SKY」。球団歌といえば「阪神タイガースの歌」(通称「六甲おろし」)に代表される、古風な曲調とテンポが一般的。西武やロッテはポップス系だが、ロックとなると異色だ。球団は当初、どう受け止めたのか。

広報部プロジェクトマネージャーの花木聡さんによると、曲の選定では「新しさ、前向きな歌詞、元気の良さ」といったコンセプトが掲げられた。ブルーウェーブと近鉄の双方のファンに受け入れられるにはどちらの球団歌にも似ていない、全く新しいものがベスト。そこで選考担当者の心をつかんだのが「SKY」だった。ロック調はむしろ新生オリックスが目指すイメージとぴたり合致していた。

「SKY」には「戦え」や「燃えろ」といった球団歌定番の歌詞がない。目立つのは「一雫(しずく)だけの雨が大河を映すように」などの情景描写の表現。一般的な球団歌とは異なる内容にした理由を「MEGA STOPPER」のボーカルとベース担当で、作詞・作曲を手掛けたDOMIさんはこう話す。「景色が脳裏に浮かべば聴く人は曲に入っていきやすいはず。(球団統合の)痛みを抱えるファンの人にはこういう歌の方が響くのではと思った」

「3分半以内に収めて」と球団から要望を受け、3番をカットして曲は完成。この時、3番から2番に移すことで残したフレーズがあったという。「北に風 東に嵐 南覆う雲も 西に木枯らし荒れども 君は行けるだろう」

日本ハムの北海道移転で始まった04年はオリックスと近鉄の統合決定、12球団制維持へ新規参入を求めた選手会のストライキ、東北での楽天球団誕生、ソフトバンクによるダイエー球団買収決定と、球界が大きく揺れた年。その激動の1年を歌に刻印したい思いと、「オリックスがいい方向に向かうように」との願いを込めて残したのが「北に……」の歌詞だった。

完成直後の05年のオープン戦。ファンの感想が気になり大阪ドーム(現京セラドーム大阪)の右翼席を訪ねたDOMIさんを、私設応援団の歓迎の声が包んだ。ベースとドラムが細かくビートを刻むヘビーメタル風のサウンドも好評。ギターが趣味の吉井理人投手から聞いた、「あのギター、ええやんけ」の言葉にも救われる思いがした。

この年にストッパーとして活躍し、現在は球団の事業運営部に勤める大久保勝信さんが思い出を語る。「ホームゲームで九回の登板に向けて肩をつくり始めるのが、七回裏が始まる前。ちょうど球場に『SKY』が流れるタイミングで、自分としてはスイッチが入るきっかけになった」

ライバル同士だったブルーウェーブと近鉄の選手、ファンを一つにする役割を果たした「SKY」。今もチームを愛する全ての「夢追い人」を勇気づけている。

(合六謙二)

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